2006年09月18日13時15分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200609181315041

環境系大学生が進路相談会開く 高校生対象に実施

 「環境系大学進路相談会・えこみゅにけーしょん」がこのほど、代々木国立オリンピック記念青少年総合センターで行われた。将来、環境問題に関わる職業に就きたいという高校生を対象に、大学で環境問題に関連するゼミなどに参加する学生が相談に乗った。全国青年環境連盟(エコ・リーグ)の主催で今年で11回目。約100人が参加した。(加藤宣子) 
 
 プログラムは、環境省職員の鈴木清彦さんの講演、興味ある分野に分かれて行う発見会、個別のブースを並べての進路相談会の三本立て。現在、少子高齢化の進行で、学生数減に頭を悩ます大学側は学生確保に一生懸命だ。しかし、環境について学べる学部・学科が増加し、逆に就職が難しくなっているのが現状である。 
 
 将来の目標を明確にしている高校生に関しては、どこの大学のどの学科に行けば目標を達成できるかをアドバイス。ばく然と環境問題に興味を持つ者には、さまざまな分野・学部・学科を紹介して、進路選択に役立てさせた。 
 
 環境省土壌環境課勤務の鈴木清彦さんは、参加者の関心、環境意識や希望などを会場からポストイットを使って拾いながら、講演を進めた。 
 
 最初の質問は「現在、最も関心があること」で、地球温暖化(4人)、砂漠化(3人)、森林問題、水質汚染、共存、廃棄物、リサイクル、戦争、生態系破壊などが挙がった。二つ目の質問はどんな社会になったらいいか、三つ目はどのような職業があるかだった。 
 
 鈴木さんは1997年の高校生時代にあった京都議定書採択(地球気候変動枠組み条約締結国会議)に大きな影響を受けたという。環境問題に関わりたいとの希望に、教師から「是非、土木を専攻するといい」との進路指導を受けて、大学に進学したことなど自らの体験を紹介した。 
 
 また、「出来れば広い視野が持てる総合大学の方がいい」とアドバイス。職業選択では、環境にいい製品を作るメーカーを勧め、公務員、コンサルタント、ジャーナリストなども推薦。公務員という職業が主に調整役であると説明した。 
 
 さらに、「環境問題のゼネラリスト」になる道と「ある特定分野の専門家」になる道があると述べ、環境問題に関わりながら、常にフィードバックを繰り返し、自分の道を見極めていくことが大切だと強調して、講演を終えた。会場からは、環境問題の広さが改めて実感できたとの声が目立った。 
 
▼高校生の参加減る 
 
 主催者の目的は、出来るだけ多くの高校生や若い人に長く環境問題に関わってもらことにあった。 
 
 発見会では、地球温暖化、エネルギー問題、リサイクル・ゴミ問題、森林破壊、生態系の5つのグループ分かれ、高校生と大学生とが一緒になって討議した。高校生には、新しい発見があったようだ。 
 
 相談会は、文系・理系・総合系の26大学がブースを出し、大学生のカウンセラーが高校生に個別に相談に乗っていた。 
 
 主催したエコ・リーグ代表理事の美濃部真光さんは「高校生の参加者が減る傾向にある」と述べた。理由として、高校生は時代の風潮に敏感で、9・11テロやイラク戦争開戦を受け、メディアの国際問題重視の影響を強く受けていることを挙げた。 
 
 今回の進路相談会で配付資料は、理系進学希望者や専門家重視の傾向が見られた。今後も改善を繰り返しながら、「進路相談会・えこみゅにけーしょん」は継続を目指している。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。