2006年09月19日01時15分掲載
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警官だと思わなかった? NFLプロ選手が非番警官に撃たれる
米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)のサンディエゴ・チャージャーズのスティーブ・フォーレイ選手(30)が3日未明、車を蛇行運転中、非番警官の制止を拒否したため、銃弾を浴びた。深夜で警官が私服であったことなどから、フォーレイ選手が警官とは信じなかったようだ。同選手は直ちに病院に搬送され手術を受けた。どの程度の負傷かのは不明だが、今シーズンの試合出場は不能となった。(ベリタ通信=江田信一郎)
米紙サンディエゴ・ユニオン・トリビューンによると、警察発表では、3日午前3時半ごろ、米カリフォルニア州サンディエゴ市近郊で幹線道路を蛇行し、他の車に何度も衝突しかけた不審車を、非番の警官が見つけた。車は時速48キロから144キロの範囲で走っていた。
警官は不審車の追跡を開始し、途中でラジオ無線で追跡中であることを所轄署に報告した。車が赤信号で停止したため、警官は、自分の車を相手の車の脇につけ、自分が警察官であることを告げるともに、道路脇に停車するよう命じた。
しかし、フォーレイ選手はこれを無視して発進、短い距離を走った後、再び停車した。同選手は車から降ると、後方に停車していた警官に向かって歩き出した。警官が再び、自分は警官だと名乗り、遂に拳銃を抜いた。同選手は「BBガン(おもちゃの銃)だ」と言い放ち、再び車に戻り、発進させた。
▼同乗女性が威嚇
フォーレイ選手は再びサンディエゴ近郊のパウウェーにある自宅近くで車を停めた。そして警官の方に向かって歩き出した。同選手は身長192センチ、体重120キロと大柄だという。同乗していた25歳の女性が運転席に座り替え、警官に向かって車を動かして威嚇を始めた。
警官は、二人に対し、自分は警官だ、拳銃は本物だと叫び、警告のため藪に向かって銃を発射した。この直後、女性が運転する車が、警官に向かってきたため、車に対し銃2発を発射。さらにフォーレイ選手が、右手を彼のズボンの中にいれる動きをみせたため、同選手に向かって発砲。弾は命中したが、フォーレイ選手がさらに向かってきたため続いて発砲し、選手は路上に倒れた。
フォーレイ選手は病院に搬送され、手術を受けた。脚、胸、腕に3発被弾していた。女性も拘束された。同選手は2日夜に開かれた選手の夕食会に出席していた。選手生活の中で、飲酒が何度か問題になっている。このほか、ことし4月にも、酒を飲んで警察沙汰を起こしている。
▼警官は身分証明できたか
一方、非番警官が、飲酒運転の車などを追跡し、逮捕するのは逸脱行為ではないという。逮捕に応じなければ、発砲もOKとされる。しかし、サンディエゴ郡の元検事によると、問題なのは、非番の警官が警察バッジなど、相手に警官だとわかるものを提示したかどうかだという。また提示した場合でも、相手に識別させ得たかどうかが肝要という。
この事件に関してフォーレイ選手側の対応は報じられていない。NFLは、野球の大リーグなどと並び、全米で人気のあるプロスポーツの一つ。フォーレイ選手は自宅近くで撃たれたが、家は昨年7月に139万ドル(約1億6000万円)で購入したものだという。コーチの話では、命に別状はないとみられるが、今後の選手生活にどのような影響が出るのかは、現段階では不明。
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