2006年09月19日10時44分掲載  無料記事
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天才少年が米プリンストン大博士課程へ 将来は数学の教授に

 天才や神童と呼ばれる者たちが、どの程度の率で出現するのかは不明だが、米フロリダ州のアリー・イスラエル君(18)も、その天才と呼ばれる一人だ。子どものころは学校へは行かず、自宅学習で数学で卓越した能力を発揮した。8月にはフロリダ州にある大学で修士号を取得し、9月には、米ニュージャージー州の名門私大プリンストン大学の博士課程に進学する。近い将来、同大の数学の教授になるだろうともいわれている。(苅田保) 
 
 米サウス・フロリダ・サンセンティネルによると、イスラエル君は、ニュージャージー州で生まれ、その後フロリダ州南東部のボカラトンに移った。父親はコンピューター・プログラマー。米国で認められている自宅学習を選択し、姉のレイチェルさんとともに学校には通っていない。 
 
 数学とサイエンスを父親が教え、母親が英語と歴史を教えた。イスラエル君は数学に関心を示し、子どものころから数学の教科書などを愛読してきた。13歳の時に、高校の微積分を修了し、その後は、マサチューセッツ工科大学(MIT)のオンライン講座で、数学の勉強を続けた。 
 
 しかし、このころになると、数学も相当高度になった。ベクトル解析の教科書を読むだけでは、限界を感じるようになった。教師が必要だと思うようになった。 
 
 2003年の春、14歳の時に、フロリダ州ボカラトンにあるフロリダ・アトランティック大学(1964年創立、公立校)の数学の授業に特別参加するようになった。 
 
▼教授ら感嘆 
 
 彼の才能は、すぐに数学の教授の目に留まった。彼の能力は4年生大学の学生の水準を遥かに超えていた。ヨーラム・サギール教授は、イスラエル君を修士課程で学ばせる決意をした。問題は、イスラエル君が、高校も卒業していないこと、また修士課程に進む前提である4年制大学卒の学士号も取得していないことだった。 
 
 同教授は、数学に特殊な才能を持つイスラエル君が、入学の資格要件でふるい落とされるのをなんとか回避したかった。学長にも面会し、この少年は10年後には、プリンストン大学の数学の教授になる男だと売り込んだ。 
 
 さらに、同教授の長年の友人であるプリンストン大学のチャールズ・フェファーマン教授(57)に、イスラエル君の推薦状を書いてもらうことにした。フェファーマン教授は実際に、イスラエル君の問題解析能力をテストした。その結果、プリンストン大の大学院生と同等の能力があると判断した。 
 
 フェファーマン教授もかつては神童と呼ばれ、20歳でプリンストン大学で博士号を取得した。22歳で同大の数学の教授になっている。28歳の時、数学のノーベル賞といわれるフィールズ賞を受賞している。 
 
 フロリダ・アトランティック大学は特例として修士課程への進学を認めた。大学では、授業の助手としても働いた。18回目の誕生日の8月、数学で修士号を取得した。同大学開校以来、もっとも年少の修士誕生とみられている。イスラエル君は、「自分が人より、優れているなどと思ったこともない。ただ学びたいだけだ」と謙虚に語っている 


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