2006年09月26日02時04分掲載  無料記事
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両親が黒人の子身ごもった娘を誘拐 中絶強要図る

 米最東北部のメーン州で、19歳の娘が付き合っていた黒人青年の子を身ごもったのを知った両親が、娘をロープやダクトテープを使って無理やり車に押し込み、誘拐する事件があった。両親は同州からニューヨーク州まで走り、そこで中絶手術をさせようと計画していたという。ニューヨーク州にたどり着く前に、休憩に立ち寄ったニューハンプシャー州で娘が警察に携帯電話で通報したため、両親は逮捕された。黒人青年は現在刑務所で服役中という。両親が仮に誘拐罪で有罪になれば、それぞれ最高15年の禁固刑に処せられるという。(ベリタ通信=江田信一郎) 
 
 米メディアによると、逮捕されたのは、実業家ニコラス・カンプス(54)と妻ローラ(53)。被害に遭ったのは娘のケイトリンさん(19)。9月15日、両親は、大学を密かに中退し、ボーイフレンドの家族と一緒に暮らしている娘を自宅に呼びつけた。両親は娘から妊娠を告白されており、中絶を説得しようとしたらしい。 
 
 母親は、警察の話では、相手の男性が黒人であり、しかも刑務所に入っていることにひどく狼狽していたという。 
 米国では60年代に、黒人に平等の地位を与える公民権法が成立しているが、人種的な偏見は消え去ってはいない。 
 
 説得がままらなかったためか、両親はケイトリンさんの手足をロープで縛り、猿ぐつわをして高級車レクサスの助手席に押し込んだ。両親は、説得ができないのを見越し、ニューヨーク州まで車を飛ばし、そこで、待機している医師の下で中絶手術を行う計画だったとされる。 
 
 ニューヨーク州に向かう途中、両親は娘の説得に応じ、手足のロープなどをほどいた。前後関係は不明だが、ケイトリンさんはいつの間にかに、父親の携帯電話をかすめ取り、衣類の下に隠していた。 
 
 ケイトリンさんはトイレに行きたいと親に告げ、このため車はニューハンプシャー州サーレムのスーパーに停車した。この間に隙を見つけて逃げ出し、警察に通報。両親は駆けつけた警察に逮捕された。車の中から、銃も発見された。 
 
▼離別説得できず 
 
 ケイトリンさんは2005年に地元の私立高校を優秀な成績で卒業し、メーン州近いマサチューセッツ州のボストン・カレッジに入った。しかし、メーン州に住むレミ・ジョンソンさん(22)と2年越しで付き合っており、両親は何とか二人を引き離そうとした。 
 
 両親は、娘をさらに遠く離れた首都ワシントンのジョージワシントン大学に転校させ、アパートに住まわせた。しかし、ここにもボーイフレンドが足繁く通った。その後ケイトリンさんは親に無断で大学を中退し、ボーイフレンドの住むメーン州に密かに戻ってしまった。 
 
 両親は探偵を使って消息を割り出したらしい。ボーイ・フレンドのレミ・ジョンソンさんは現在、盗品の銃を所持していた罪でメーン州の刑務所に服役している。刑期は6カ月という。このためケイトリンさんは彼の母親らと暮らしている。 
 
 一方、両親は現在留置場暮らし。誘拐罪は重罪なので、ニューハンプシャー州では有罪になれば最高で禁固15年になる。また事件を起こしたメーン州でも別途裁かれる可能性があり、有罪になれば長期の服役になる。 
 
 ニューハンプシャー州の裁判所は、二人の保釈金をそれぞれ10万ドル(約1150万円)と設定している。両親の弁護士は、今回の誘拐劇は家族間のこじれが原因であると述べ、事件の凶悪性を否定している。 


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