2006年09月26日03時00分掲載
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ジョンベネちゃん殺害自供はうそ 別件で無罪に固執する被告
米コロラド州ボールダーで1996年に起きたコンテストの常連で有名だった美少女ジョンベネ・ラムジーちゃん(当時6歳)殺害容疑で逮捕されて一時メディアを騒がした元教師ジョン・マーク・カー被告(41)が、相変わらず検察当局を振り回している。カー被告は、タイでラムジーちゃん殺害を自供し、米国に連行されたが、その後のDNA鑑定の結果、自供はうそと判明した。現在裁かれているのは2001年に起きた児童ポルノ写真保持に関する事件。ラムジーちゃん殺害と比べれば、極めて軽微なこの事件については、逆に頑強に無罪を主張。引き続きメディアの関心を集めている。(ベリタ通信=江口惇)
カー被告の一連の行動は不可解の一言に尽きる。被告は米カリフォルニア州サンフランシスコ東方の学校などで教師をしていたが2001年4月、コンピューターに児童ポルノの映像を保存していた罪で逮捕された。具体的に何が違法だったのかは不明だが、本人は容疑を否認したとされる。6カ月拘置された後、保釈されたが、外国に高飛びした。無罪を主張するのに逃げたのはなぜか。
その後アジア、中米、欧州などを転々。外国語教師などで現金収入を得た。カリフォルニア州では、教員資格は停止になっていたが、外国では、個々の外国人の履歴チャックができず、法の網を巧みに逃れた。
しかし、逃亡中の身ながら、ジョンベネちゃん事件に詳しいコロラド大学の教授に犯行をにおわす電子メールを送り続けたため、タイに潜伏しているのが発覚した。まるで見つけられるのを期待しているような行動だ。タイ警察には、ジョンベネちゃん殺害を自供。この結果、米国の係官に付き添われて飛行機はビジネスクラスで帰国した。
コロラド州ボールダーに移送されたが、ジョンベンちゃんの下着についていた体液のDNAとカー被告のそれが一致せず、狂言と判明した。米国に無料で戻るために芝居を打ったとの印象も与えた。同被告のために、ボールダー市当局が使った費用は人件費も含め2万3000ドルを超えたという。このうち6000ドルが、捜査官を含めたビジネスクラスの切符代で、税金の無駄使いとの声が上がった。
▼振り回される検察当局
ラムジーちゃん殺害事件と無関係となったため、高飛び前の継続中の児童ポルノ事件の審理が再開された。身柄はコロラド州から、カリフォルニア州の拘置所に移された。
この事件は、有罪になっても最高禁固1年。カリフォルニア州の検察当局も、早めに事件を終結しようとカー被告に司法取引を持ちかけた。この取引は、裁判の迅速化を図るために、有罪を認めれば、裁判を行わずに、即量刑宣告に入るシステム。有罪を自主的に認めるので、刑が軽減されることが多い。
検察側は、司法取引を持ちかけたのは、証拠として押収していたコンピューターを紛失するという不手際があったことも一因のようだ。司法取引に応じれば、保護観察付きながら、直ちに釈放という内容だった。
ところが、カー被告はこれを拒否。本裁判で争う姿勢をみせた。しかし、有罪になっても既に過去に6カ月以上拘置所暮らしをしているカー被告は、その後の未決勾留日数を含め、判決後直ちに釈放される可能性が大きい。このため無理して争わなくてもの声もある。
カー被告は、児童ポルノに関しては悪いことはしていない以上、罪は認められないと潔白の主張に固執する一方、ジョンベネちゃん殺害事件では、うその自供をし、勝手に罪を認めるというちぐはぐな行動をしている。ともかくカー被告の心理状態を知るのは容易ではなさそうだ。
ジョンベネちゃんは美少女コンテストの常連だったが、1996年12月26日、自宅地下室で死体で発見された。死因は絞殺。誘拐を装った脅迫状も見つかった。外部からの侵入の跡がなく、内部犯行が疑われたが、犯人は依然不明。
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