2006年09月28日20時12分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200609282012224

地下にアジト築いた米の性犯罪常習男 少女監禁を家族も支援?

 米ノースカロライナ州で最近、14歳の少女が、36歳の男に誘拐され、森の中に掘った地下のアジトに監禁される事件が起きた。少女を10日間にわたって監禁したもので、その間、母親や男の内妻が、食事や水を運んでいたという。男は逮捕され、母親二人も共犯容疑で逮捕されたが、家族ぐるみで、性犯罪の前歴がある男をかばっていた理由は明らかになっていない。男は、12歳の少女をレイプして指名手配中だったが、その後も懲りずに14歳の少女を誘拐し、性的虐待を加えていた。(ベリタ通信=江口惇) 
 
 米メディアによると、逮捕されたのは、建設作業員のビンソン・フィルヨー(36)。9月6日午後、学校帰りの少女(14)に、郡保安官の変装をして声をかけた。「あなたは逮捕された」と告げ、少女に手錠をかけ、自分の隠れアジトがある森の中に連れ込み、監禁した。アジトは、自分が住んでいる移動式住宅の裏山に作っていた。 
 
 少女の母親は当日、警察に娘が帰ってきていないと連絡したが、警察は、誘拐とは思わず、失踪扱いにしてしまった。悲嘆に暮れる母親の元に、一週間後の13日、携帯電話のテキスト・メッセージで、少女から誘拐され、地下に監禁されている旨の連絡が入った。 
 
 警察が電話の発信場所を捜索し、3日後の16日に森の中にアジトに近づき、警察が声をかけると、「助けて」と少女が答えた。少女を保護したが、フィルヨーの姿はなかった。現場と少女の自宅は8キロしか離れていなかった。少女を監禁していたアジトからは、多数のポルノ写真も押収された。 
 
 警察が行方を追う中で、フィルヨーは翌17日未明、州内のスーパー付近で車を奪おうとしたが、運転手の女性に抵抗されて失敗。この女性が警察に通報したため、近くを歩いていたフィルヨーが間もなく逮捕された。 
 
▼森など4カ所に地下アジト 
 
 フィルヨーは2005年11月に、12歳の少女をレイプし、指名手配されていたが、忽然と姿を消していた。それもそのはずで、移動式住宅の床下や、裏の森などに四カ所の地下アジトを持ち、警察が来たときは、地下に身を隠していた。 
 
 地下生活の間、母親(55)と内妻(34)が、食事や水を、運び、夜になると、地下から這い出して運び込んでいた。このため警察は、フィルヨーの逮捕後、母親らを幇助の疑いで逮捕した。 
 
 フィルヨーは軍隊の経験はないが、有事の際のサバイバルに関心があったようだ。地下に生活ができるアジトを作ったのもそれが狙いではないかとみられている。実際、以前、穴を掘っているフィルヨーに隣人が声をかけた際、ハリケーンやトルネードに備えたものだと話している。 
 
 17日に裁判所で保釈手続きがあり、手錠をかけられたフィルヨーが出廷した。有罪が確定すれば、最高で禁固101年が科される可能性もある。 
 
 この日の法廷の最前列には、解放された少女も座っていた。少女は救出後、病院で手当を受け、その後家族と再会を果たした。少女の母親はメディアに対し、娘は大変強い子だと話している。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。