2006年10月03日08時44分掲載
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若い女性の大胆な行動が売り物のCM 未成年者使用なども問題化
深夜に米国のテレビで「Girls Gone Wild」というソフトポルノのビデオ・コマーシャルがしばしば流されている。バーやディスコで踊ったり、飲んでいた素人の若い女性たちが登場し、カメラの前で裸になったりする内容だ。年間数百万ドルの売り上げがあるといわれるが、未成年者を登場させたり、さなざまな問題を引き起こしている。映像の無断使用などでたびたび損害賠償請求も起こされているという。(ベリタ通信=江口惇)
このビデオに登場する女性は、若くてスリムな体型で、それに歯がきれいなことが特徴だという。テレビクルーが、女性を求めてマイアミやメキシコの保養地に専用ジェットで繰り出し、春休みなどを利用して観光地でバカンスを満喫中の若い女性をスカウトし、カメラの前で胸をみせたり、時には性行為をさせたりするものだ。出演者には謝礼としてTシャツなどが贈られるという。
この番組を制作しているのは、南カリフォルニア大学出身の起業家ジョー・フランシスさん(33)。最近米紙ロサンゼルス・タイムズに女性記者がフランシスさんを取材した記事が掲載されているが、その生活ぶりはかなり際どいものだ。
酒に酔って大胆になった若い女性たちを、取材用の移動バスに呼び、そこでシャワーを浴びるシーンを撮影したり、またベッドの上でセクシーなポーズを取らせている。フランシスさんはカメラが回る現場で、女性にいろいろ話しかける役割を演じている。
ビデオは一本9ドル99セントで販売されているがかなりの人気のようだ。特にビデオの題名が若者の心に強くアピールし、最近は有名になりたいという女性たちが、喜んで出演することもあるという。
またロサンゼルス・タイムズ紙は、インターネット上に若者が自分の写真を掲載するのが一般的になり、以前に比べ、映像にされることをあまり気にしなくなったと指摘している。しかし、ビデオの収録がホテルやバスの中という密室で行われるため、無用心な若い女性が被害を受けることもあるようだ。同紙の女性記者は、フランシスさんに無理やり性行為を強要された女性のことを書いている。フランシスさんは、合意の上のものと反論している。
▼続発する訴訟
フランシスさんはこれまでに数十件の訴訟を起こされている。女性の両親が、後になってビデオを出ていたことを知らされ、驚くケースが目立っている。しかし、大半のケースは、女性たちが、事前に撮影を了承しているため、合衆国修正憲法の「表現の自由」との絡みで、敗訴する場合が多いという。
最近問題になったのは、未成年者の女性を出演させたことだ。米連邦法では、番組プロデューサーは、制作に当たって、出演者の年齢や身元を記録することが義務付けられているが、フランシスさんやその制作会社は、これを怠っていた。
このため二件で210万ドル(約2億4000万円)の罰金を払う羽目になっている。未成年者をビデオを勝手に出演させるは違法だが、今回は未成年者が、自ら年齢を偽っていたとの理由で、こちらのケースはおとがめなしになったようだ。
フランシスさんは以前にもフロリダで、未成年の女性を出演させ、逮捕されたこともある。その時はビデオが一時押収されたが、その後、これを逆に宣伝に利用、「押収されたビデオ」と称して販促していたという。フランシスさんは人気タレントのパリス・ヒルトンさんたちとも知り合いとされる。
ロサンゼルス・タイムズの女性記者は同行取材中、理由もなく怒ったフランシスさんから暴力を振るわれたことを書き記している。
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