2006年10月03日09時08分掲載  無料記事
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幼児失踪事件でのTV局取材で母親自殺?批判出るも容疑者だった

 
 元女性検事で現在CNNのトーク番組で活躍しているナンシー・グレースさん(47)は、生々しい犯罪事件などを取り上げ、事件の真相に迫るのを売り物にしている。そんな攻めの姿勢が視聴者の人気を集めているが、最近、幼児失踪事件に絡んで、その幼児の母親に厳しい質問を浴びせた後、母親が散弾銃で自殺し、波紋を広げた。ブログの世界では、グレースさんが、母親を追い詰めたなどと批判の声も上がっている。しかし、地元警察は母親を容疑者と見ていた。(ベリタ通信=江田信一郎) 
 
 今回問題になったのは、米フロリダ州で起きた幼児失踪事件。8月27日、同州に住むリンダ・ダケットさん(21)が警察に2歳の息子のトレントンちゃんが、アパートからいなくなったと届けた。 
 
 失踪事件はメディアの関心を呼び、何度かテレビ局のインタビューを受けたリンダさんの証言について、メディアは疑問を感じ始めていたようだ。警察もリンダさんから何度も事情を聴いている。 
 
 リンダさんは、グレースさんの番組にも登場し、失踪当日の行動を厳しく攻め立てられた。「あなたはどこにいたのか」「なぜどこにいたのか言えないのか」。電話で応対したリンダさんは、詳細を明らかにしなかった。 
 
 この収録の翌日、リンダさんは両親が住む家の押入れで、散弾銃で自殺した。CNNは自殺の後、リンダさんとのインタビューを放送したが、グレースさんがリンダさんに激しく詰め寄る様子を見たブッロガーたちが、自殺を誘発したと一斉に批判の声を上げた。 
 
 グレースさんを語るときに、しばしば引用されるのが、彼女が検察官になった動機だ。ジョージア州の女子大生だった時に、結婚間近だった婚約者が殺害されたことをきっかけに、彼女は法律家の道を目指し、検察官になった。このため時として相手を追い詰めるような口調になる。 
 
 リンダさんの両親も、グレースさんや他のメディアが娘を追い詰め自殺に追いやったと批判した。その後、他のライバル局でもグレースさんの責任をめぐって盛んに議論が交わされた。 
 
▼母親は容疑者だった 
 
 リンダさんには夫がいたが、関係はうまく行っておらず、別居していた。夫はリンダさんの自殺について「グレースさんに責任はない」と述べ、「懸念しているのは子どもの行方だ」と語っている。 
 
 地元警察は自殺から約2週間後の9月末になって、死亡したリンダさんが有力容疑者だと発表した。警察は早い段階で逮捕に踏み切ることもできたが、子どもを発見するため、監視を続けていたことを明らかにしている。 
 
 またリンダさんが自殺した後、リンダさんの車のダッシュボードの中から遺書も発見されていたと述べた。遺書は子どもを愛していることなどを2ページにわたって書き綴っていた。 
 
 グレースさんのトーク番組は、引き続きこの事件を追っている。グレースさんは、他社のテレビ局のインタビューで、リンダさんが自殺前、母親に対し、「トレントンはもう帰ってこない」と話していたことを取り上げ、幼児が死亡している可能性があると述べている。 


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