2006年10月03日09時22分掲載  無料記事
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有料道路の罰金が4330万円に 額が大きすぎると裁判所に提訴

 米国のハイウェーは大半が無料だが、無料道沿いに有料のハイウェーも作られている。有料ハイウェーは、常時交通渋滞が発生する区間に作られることもある。確かに、約束の時間が迫っているときなどには便利だが、間違って有料区間を走行したり、使用料の支払いを怠ったりすると、とてつもない高額の違反金を徴収される羽目になる。最近の例では、使用料の支払いを滞った夫婦が、37万7000ドル(約4330万円)の巨額な罰金を請求された。このため二人は「あまりにも罰金が過大」と、当局側を訴える事態になっている。(ベリタ通信=江口惇) 
 
 米カリフォルニア州のロサンゼルスや近郊の幹線道路は、朝夕のラッシュ時は、数珠繋ぎの混雑になる。州ハイウェー91号線もそのひとつ。91号線は、ロス東方のリバーサイド郡からロス近郊に向かう東西に伸びる幹線。この渋滞を解消するため3年前から、渋滞のひどい約16キロにわたり、91号線に沿って「エクスプレス・レーン」と呼ばれる有料道路が運用を開始した。 
 
 米紙オレンジ・カウンティ・レジスター(電子版)などによると、91号線を一日利用するのは約32万台。このうち、有料道路を使うのは3万台という。 
 
 37万7000ドルの罰金を請求されたのは、フアン・トレビノさんとジョセフィン・トレビノさん。カリフォルニア州では、この値段で一戸建ての家が買えるので、請求額の大きさがわかる。 
 
 二人は有料道路を無断で走ったわけではない。問題になったのは、有料道路の使用料の支払いの遅滞だった。この結果、罰金が一日ごとに加算され、雪だるま式に増えることになった。 
 
 二人は当時、従業員15人を使い、白蟻駆除の会社を経営していた。車5台を使い、従業員が91号線の有料道路を頻繁に利用した。 
 
 しかし、その後経営不振に陥り、大半の従業員を解雇した。有料道路の使用料は、クレジット・カードで支払うことになっていたが、これも滞ってしまった。二人の仲も悪化し、現在は別居している。 
 
▼当初は2000ドル 
 
 罰金は2004年11月からの未払い分が対象。当初の使用料支払額は2000ドルだったが、ことし6月までに罰金が加算され、合計で37万9000ドルに達した。 
 
 6月にジョセフィンさんがハイウェー管理局に連絡したところ、罰金額が巨額なものになっているのを知り驚いた。管理局からは事前に何の連絡もなかったと主張している。二人は、罰金額は常識外れの高額だとして9月に裁判所に訴えた。 
 
 ハイウェイー管理局では、通常有料道路の無断走行など違反者に通知書を送付し、期限内に支払うよう督促しているという。しかし、何度も支払いに応じなければ、その期間が長引くだけ、罰金が加算される。ジョセフィンさんたちが、督促状を受け取っていたのかは不明。 
 
 このほかにも、クレジットカードを盗まれた女性が、カードをキャンセルにしたため、ハイウェー管理局への支払いが滞り、莫大な罰金を請求されるケースが起きている。 
 
 この女性の場合、当時の「エクスプレス・レーン」の使用料は316ドルだった。しかし、カードをキャンセルした後、引っ越したため、支払い手続きを忘れてしまった。 
 
 ハイウェイー管理局がクレジットカード会社に自動的に支払いを求めたが、キャンセルされていたため、管理局への支払いが中断。この結果、本人の知らぬ間に罰金が加算され、316ドルのほかに約4万800ドルを請求された。この女性も、罰金が大き過ぎるとして同様に、管理局を訴えている。 


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