2006年10月15日10時08分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200610151008110
アザラシ救助の話はうそか本当か 体に多数のかまれた傷
米オレゴン州で最近、アザラシを車に乗せているとの通報が警察にあった。保護対象になっているアザラシを海から勝手に持ち帰ったりするのは違法だ。警察がようやく車を探し当てたところ、車に中には、激しい性格の犬といわれているピット・ブルの姿もあった。アザラシは全身に傷があった。男は、浜辺で他のアザラシに襲われ、傷ついていたアザラシの子どもを、獣医に診せるために”保護“したと話している。しかし、アザラシの子どもがピット・ブルにかまれた可能性もあるという。(ベリタ通信=江口惇)
米メディアによると、警察に通報があったのは9月17日。警察がアザラシを乗せた白いバンをようやく発見した。運転したのは24歳の青年。酒に酔っており、他に16歳の弟が乗っていた。
男はタオルにくるまったアザラシを警察に引き渡したが、かまれた傷があり、かなり弱っていた。直ちに水族館に送られ、緊急に手当てを受けた結果、次第に元気を回復しているという。
このアザラシは生後2、3カ月の子どもという。男の話では、浜辺で発見したアザラシを、獣医のところに運ぼうと市内を走ったが、日曜日だったため、すべて締まっていたと話したという。
しかし、バンの車に乗っていたピット・ブルは、男が飼っていたものだが、元々闘犬用に改良された犬で、気性が激しいと一般的にいわれている。男は最近、ネバダからオレゴン州に移り、バンの中で寝起きしていたという。
今のところ、男の行動が善意に基づいたものなのか、それともピット・ブルに襲うようけしかけたものかは、はっきりしていない。
ただはっきりしているのは、男が酒酔い運転と、海洋保護動物の不法所持で訴追されることだ。野生動物の不法所持は、罰金が最高で6250ドル、最高でイ1年間の禁固刑になるという。
仮に善意の場合でもあっても、海辺で傷ついていたアザラシを救うのは間違いだと、水族館関係者は指摘している。自然界の営みに人間が介入することになるからだ。
普通、子どものそばには親のアザラシがおり、助けに来るものだという。仮に、人が傷ついた子どもを持ち帰って手当てをした場合、親とは永久に離れ離れになってしまう。
このため野生動物関係者は、傷ついた動物を見つけた場合は、そのままにし関係当局に通報するのが最善の策だと話している。
一方、ピット・ブルの中にも種類があり、すべてが獰猛だとは限らない。しかし、闘犬してのイメージが強く、各地でピット・ブルによる問題が表面化している。
米カリフォルニア州で起きたケースでは、二人の警官がピット・ブルに15発の銃弾を浴びせ、殺す事件が2004年にあった。
公道でヘルメットをかぶらずに自転車に乗っていた二人の少年を警官が発見。逃げたため警官が追跡した。二人は近くの家の庭に逃げ込んだ。警官がフェンスを越えて庭に入ったところで、ピット・ブルと対峙した。警官はかまれたため発砲し、殺害した。
しかし、飼い主が市当局を提訴。その結果、ことし9月に、市が家族に22万5000ドル(約2580万円)の示談金を払うことで合意が成立している。
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。