2006年10月15日10時12分掲載  無料記事
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16歳の高校生が頭部強打され死亡 「ファイト・クラブ」に類似

 1999年に公開されたハリウッド映画「ファイト・クラブ」(ブラッド・ピット出演)は、男同士が激しい殴り合いを演じるという、地下の秘密ボクシングを題材にしたものだった。映画の世界の話だと思われていたが、若い世代の間で実際に「ファイト・クラブ」に似た組織が作られているようだ。米カリフォルニア州では今月、16歳の高校生が、公園内でボクシングをしていた際、頭を強打され、死亡する事故が起きている。(ベリタ通信=江田信一郎) 
 
 米メディアによると、死亡したのは、地元の高校生のジェファーソン・ピットナー君(16)。今月1日、ピットナー君は数人とボクシングをしていたが、水を飲んだ後、突然倒れた。直ちに病院に運ばれたが、約7時間後に死亡した。死因は頭部の損傷だった。 
 
 当時は12人のティーンエージャーの若者がボクシングに参加していた。目撃者の話では、ピットナー君は倒れる前に、こめかみ部分を強打されていたという。 
 
 地元警察は殺人容疑で捜査を開始し、これまでに試合に参加していた数人から事情を聴取している。 
 
 少年たちは数年前に密かにボクシングを行うグループを作っていた。試合はグローブをはめて行うが、ほとんどの少年は正式なボクシングのトレーニングを受けていなかった。 
 
 特に厳格なルールがあるわけでなく、試合は数ラウンドで終了する。今回は日曜日の公園で行われたが、他に家のガレージや裏庭などでも行われる。こうしたグループが各地にいくつか作られているようだ。 
 
 ピットナー君が通っていた高校では、突然の生徒の死に教師や友人らがショックを受けていた。しかし、何人かの生徒は、ボクシングを行う、こうしたグループの存在を知っていた。 
 
 生徒から事情を聴いた教師の話では、参加しているのは、特に学校で問題のあるような子ではなく、多くの子が単なる面白さから参加していた。ピットナー君も学校では成績の良い方で、暴力的な生徒ではなかったという。 
 
 昨年の一時期、このグループに参加していた16歳の少年は、キックボクシングやスパーリングのようなことをしていたと話している。 
 
 しかし、親や教師のほとんどは、少年たちの間にこのようなグループが存在していたことに驚いている。ある母親は、子どもたちは、結果の恐ろしさがわかっていないと心配している。 
 
 精神科医らの話では、殴り合いは、少年たちにとって男らしさを誇示するための一手段になるという。相手に勇敢に立ち向かうことは、男らしさの証明にもなるからだという。 
 
 従って、殴り合いに勝利することが目標となり、肉体的な暴力に耐えることが賞賛される。しかし、ボクシングを知らない少年たちは、手加減さがわからず、激しい殴り合いになることもある。これは大変危険なことだという。 
 
 一方、事故が起きた公園のそばには郡保安官事務所もあったが、当日、特に警察がボクシングをしていたグループをいぶかっていた形跡はなかった。警察では、今回の事故を受け、公園内のパトロールの見直しも検討している。 


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