2006年10月20日18時54分掲載
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メル・ギブソンの反ユダヤ発言漏洩に警官関与か
ハリウッド俳優兼監督のメル・ギブソン(50)がことし7月に、飲酒運転で逮捕された際、反ユダヤ発言をして物議を醸したが、ギブソンを拘束したロサンゼルス郡保安官事務所の警官が、キブソンの供述内容を芸能ニュースのウエブサイト「tmz.com」に流していた可能性があるという。米メディアが最近伝えた。事件の後、この警官の自宅に対して捜索令状が出され、郡保安官事務所の捜査官が9月に、自宅からコンピューター、電話の記録や書類を押収した。(ベリタ通信=江口惇)
ギブソンは7月28日、高級住宅地として知られるロサンゼルス西方のマリブで、高級車レクサスを運転中、警官に逮捕された。70キロの制限速度のところを140キロ近くで走っていた。酩酊状態で血中アルコール濃度は法定限度の0・08%を超え、0・12%に達していた。
ギブソンは、反ユダヤの罵りの言葉を連発し、警官のジェームズ・ミー氏に対し「ユダヤ人は世界中のすべての戦争に責任がある」と発言。ユダヤ人であるミー氏に向かって「あんたもユダヤ人か」と質問した。
警察署に連行されてからも言動が収まらず、女性警官に対しても不穏当な発言をした。一連の会話は録音されていた。ミー氏は調書を作成したが、上層部は反ユダヤ発言の発言が記録された調書の変更を指示。この発言が削除された調書が作成された。
しかし、ウエブサイト「tmz.com」に、直ちにギブソンの当初の供述内容が漏れ、逮捕時の詳細が公表された。警察は、ギブソンの逮捕時に、警官とのトラブルがあったことは公表していなかったため、警察上層部が、有名人のギブソンを守るために、捜査に手心を加えたのではないかとの疑惑が浮上した。
このため郡保安官事務所も、内部調査に乗り出している。これと平行して、警察書類の内容が、メディアに漏洩したことも警察内で問題になった。機密が解禁になっていない段階で、情報を外部に出せば、犯罪に該当する。
▼ギブソン氏は「反省」
「tmz.com」は、当時「ギブソンが反ユダヤの長広舌、隠蔽の疑惑」と題し報道。本文中で、ミー氏が最初に作成した4ページの捜査書類を入手したことを明らかにし、伏せ字も混ぜながら、ギブソンのののしり発言を報じていた。記事はニュス源を「ある捜査筋」と表記していた。
ミー氏の代理人は、9月の家宅捜索についてはコメントしていない。
キブソンは逮捕後、保釈金5000ドルを供託し、釈放された。反ユダヤ発言については「恥ずべきことだった」と謝罪した。その後、長年アルコール依存症だったことも告白した。
8月の裁判で、有罪を認め、罰金の支払いや、アルコール依存症の治療を行うことで合意した。一時、沈黙していたが、最近、テレビ局のインタビューなどに出演し、ひたすら陳謝をする行脚を続けている。
ギブソンはキリストが処刑されるまでの姿を描いた映画「パッション」を製作し、04年の公開時には世界中に大きな波紋を広げた。一方、ギブソンが監督した話題の次回作「アポカリプト」はディズニーが配給し、年末に公開予定だが、差別発言で配給先の変更が一時噂されたりした。
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