2006年10月24日00時49分掲載
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黒人と中南米系生徒が乱闘騒ぎ 警官隊が出動し鎮圧
米カリフォルニア州の高校でアフリカ系米国人(黒人)とラティーノ(中南米系)の生徒500人が、学校やその周辺で激しく衝突、警官隊が出動し、鎮圧に当たる騒ぎになった。近年、黒人とラティーノ同士の衝突が増えている。同じ日に近くの別の高校でも人種的反目に根ざした衝突が起きている。この背景には、ラティーノの人口急増で、経済的社会的にラティーノに押され気味の黒人層が苛立ちを深めている事情がある。(ベリタ通信=江口惇)
10月13日に、カリフォルニア州フォンタナにあるフォンタナ高校で、生徒同士の衝突が発生した。事の発端は、黒人の女子生徒と、ラティーノの女子生徒との口論。何が原因かは不明だが、興奮した二人は、殴り合いに喧嘩に発展した。
同日正午ごろ、キャンパスのフィールド場で集まった生徒は、黒人とラティーノの生徒に分かれた、あちこちで喧嘩を繰り返した。騒動がやや収まったとところで、学校側はその日の授業をキャンセル。しかし、騒ぎは収まらず、学校の正門前や付近の道路で、再び殴り合いが発生した。
このため近隣警察からも応援が駆けつけ、SWAT(特別攻撃隊)なども含め、100人の警察官が出動し、学校周辺に阻止線を築いた。上空ではヘリコプターが旋回し、騒然とした状態になった。
これに対し、一部の生徒が投石などを行うなど挑発的な行動に出た。鎮圧部隊はゴム弾やガス弾を発射し、生徒を四散させた。この間、生徒6人が逮捕された。同校は生徒数が4100人だが、騒動に参加したのは500人以上に達した。
フォンタナ高校の生徒は、米メディアに対し、こうした人種間の衝突は、同高校では一週間に一度は起きているという。しかし、今回だけは、多数の警官隊だ出動し、これまでで最悪のケースだと話している。
現場にいた黒人で高校2年ラネッサ・ハーディングさん(14)は、双方が二手に分かれてにらみ合った後、石が飛び交ったと話す。その後、「向こう(ラティーノ)が突進してきて殴りだした。だからこっちも殴り返した」という。
学校の近くのレストランでは、警官が男子生徒に飛びかかり、棍棒も振るって抵抗を阻止した。この生徒は手錠をかけられ、連行された。
一部の生徒たちは携帯電話で、親たちに騒ぎを報告していた。しかし、あまり事情を知らずに学校に駆けつけた親の中には、上空をヘリが旋回するなど、ただ事ではない様子だったため、銃の乱射事件が起きたと思い、大変心配したという。
一方、同州サンベルナルディノにあるパシフィック高校でも、ほぼ同じ時間に黒人とラティーノの生徒約100人が、昼食時間の後、教室に戻らず、ハンドボールのコート場でにらみ合った。
ラティーノが70人、黒人が30人程度集まっていた。警官が衝突を阻止するため、カラシ弾を生徒たちに発射した。その後5人の生徒が逮捕された。
両校とも目下、話し合いで、二つの異なる人種の生徒が、和解の道を見出せるような策がないかを検討している。
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