2006年10月27日10時11分掲載  無料記事
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犬の調教の仕方に愛護協会が反発 米の人気TV番組めぐり

 米国で人気を博しているTV番組の一つに、犬の調教ドキュメンタリー・シリーズ「ドッグ・ウイスパー」がある。メキシコからの移民の調教師セサル・ミラン氏(37)が、犬のしつけに自信を失った飼い主の相談を受け、乱暴な犬や、性格の落ち着かない犬を手なずけるという内容がうけている。ミラン氏は、犬に関する本やCDも出す人気者だ。ところが、米動物愛護協会(米コロラド州デンバー)が先に、ミラン氏の犬の扱いは「動物愛護に反し、不適切」と反論し、ミラン氏のやり方を批判している。(ベリタ通信=江口惇) 
 
 「ドッグ・ウイスパー」は、ドキュメンタリーを流すTVチャンネル「ナショナル・ジオグラフィック・チャンネル」が2004年から放送を開始した。海外でも放映されている。 
 
 ミラン氏は、犬の心理や調教を専門には勉強していないが、メキシコの田舎で、牧場の牛たちを追い立てる犬たちの行動などを学んだ。その経験から犬のしつけなどについて独自の考え方を持っている。 
 
 番組は、冒頭で、言うことをきかない犬に悲鳴を上げた飼い主が登場し、犬のそうした行動が紹介される。そこにミラン氏が現れ、何が問題かを飼い主と話し合った後、凶暴な犬、吠えまわる犬を、見事に手なずけていく──というのが、いつものパターンだ。 
 
 ロサンゼルスに犬を集めた訓練場も所有しており、すぐに矯正がきかない犬は、一時的に預けられ、訓練を受ける。 
 
 犬たちが、ミラン氏のマジックにかかったかのように、変身していく内容が、米視聴者の関心を集め、「ドッグ・ウイスパー」は、「ナショナル・ジオグラフィック・チャンネル」のドル箱的作品になっている。 
 
 ミラン氏は、犬を健康かつ安定した状態に保つためには「運動、しつけ、愛情」の三つの要素が必要だと指摘し、このバランスが犬には大切だと主張する。また飼い主は、犬に対し自分がリーダーであることを知らせることが重要だと力説する。 
 
 同氏によると、米国の愛犬家は、愛情ばかりが先走りすぎており、犬よりも飼い主のほうに問題があると述べ、これではバランスの取れた犬が育たないと話している。 
 
 しかし、番組が人気を呼ぶにつれ、訴訟など様々な問題が起きている。保護していた犬が負傷したことで、損害賠償請求訴訟も起こされている。最近の例では、9月に、米動物愛護協会が、「ミラン氏の調教方法は動物愛護に反しており、番組は中止すべきだ」と、クレームをつけた。 
 
 同協会の話では、これまでのシリーズの中で、手に負えない犬をしつけるために、一時的に窒息状態にする不適切なやり方が紹介されたという。 
 
 「ドッグ・ウイスパー」は秋から新シリーズになるが、米メディアによると、「ナショナル・ジオグラフィック・チャンネル」側では、愛護協会の懸念に考慮して、番組の中で、「犬の調教には多くの方法がある。飼い主は正しいやり方を専門家に相談するように」とのお知らせを流す方針だという。 
 
 愛護協会では、これを受けて、番組の中止は引っ込めた感じだが、不適当な調教方法については今後も監視していく考えだ。 


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