2006年10月28日13時47分掲載
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日中・広報文化交流最前線
国際色豊かな北京の合気道 井出敬二(在中国日本大使館広報文化センター長)
●「北京大学合気道協会」創設5周年
10月22日、筆者は、「北京大学合気道協会」創設5周年の記念デモンストレーションに招かれ、北京大学を訪問した。
同協会は、2001年10月29日に北京大学の学生達により創設された。現在は同大学学生に加えて、同大学のOB、中国人民大学の学生など約100名が参加している由である。週3回(火、土、日)に北京大学内の五四体育館で練習しているそうである。中国人学生、日本人留学生に加えて、欧米、アジアの学生なども参加している。この協会の活動には既に有段者となった者も数人参加している。
当時の創設に携わった関係者(当時の日本人留学生)によると、合気道の道着を着て大学構内を歩いていて、おかしな結社に所属しているのではないかといった目で見られたこともあったそうである。しかし、北京大学内で正規の組織設立の手続き(約1年間の準備期間を経て)をして、大学内で合気道協会創設が正式に認められたそうである。
(同協会のウェブ・サイトはwww.pku-aikido.net/jp/index.html)
10月22日のデモンストレーションは戸外で行われ、やや肌寒い中であったが、150名位の中国人が見守る中、合気道が演じられ、盛んな拍手を受けていた。
北京大学合気道協会会員への指導のために、福岡市から毎年訪中されている菅沼守人「合気道祥平塾」理事長によれば、「中国人が合気道を習う態度は熱心であり、違和感はない」とのことであった。但し、強いて日本人との違いを言えば、「技のスピードが中国人は速い。間の取り方が日本人と中国人とでは違う」とのことであった。日本の指導者が毎年訪中され、指導されていることは、北京大学合気道協会にとっても非常に幸運なことである。
●多士済々な指導者
合気道は北京市内で様々な場所で親しまれている。筆者が見聞する機会があった道場などを以下の通り紹介したい。
筆者の同僚の千葉明氏は北京における合気道事情に詳しく、同氏自身、北京で合気道の指導を行っていた。同氏は「外交と合気道」という文章を外務省ウェブサイトに掲載しているので、関心のある方は参照して頂きたい。(www.mofa.go.jp/mofaj/press/staff/shoin/g_7.html)
─「吾勝館」:北京の合気道愛好家達が、2003年3月に創設。創設時は「北京海淀合気道協会」という名称だったが、2005年2月に「吾勝館」に改称。人民大学の中の武術室で週二回稽古をしているそうである。
─中国人合気道指導者:太史慈氏は、中国人であるが、ニュージーランドに移住して合気道を学んだということである。同氏が筆者に語ったところでは、合気道を中国で広めるために北京に戻り、北京市内数箇所で合気道を指導している由。
─ロシア人合気道道場:セルゲイ・ダヴィドフ氏という合気道指導者が約30名を指導している。同氏が筆者に語ったところでは、エカテリンブルグ市出身で、英国人師範から合気道の指導を受けた由。
(インターネットなどの情報によれば、これら以外にも合気道の道場が北京市内にある由)
合気道を学ぶ中国人が日本についてどう考えているのか尋ねたところ、中には「日本製品は買わないが、合気道は好きだからやっている」という中国人もいるそうだ。
北京での合気道は、様々な国籍の人が、様々な国籍の先生から学んで行っていることに一つの特徴がある。
日本の武道にはすばらしい精神性が伴っている。北京大学で合気道を指導されている菅沼守人氏は『いまここをいきいきと生きる』という書を著しているが、その中で、人生のこと、人との付き合いのことなどを述べている。世界の合気道愛好家が、日本の精神性に触れながら、友情を深めることができれば、すばらしいことである。(つづく)
(本稿中の意見は、筆者の個人的意見であり、筆者の所属する組織の意見を代表するものではない。)
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