2006年11月07日20時45分掲載  無料記事
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神奈川県警不当逮捕 「微罪逮捕」に述べ35人を動員 連日5時間・10日間取り調べ

   神奈川県警によって、普通なら罰金さえ適用されない微罪で逮捕・勾留されたAさんに、逮捕以降何があったかについて報告をいただいた。「ここまでやるのか」という公安警察の実態が手に取るようにわかる。Aさんは市民への人権侵害を許さないための具体的な運動を起こすとしている。(大野和興) 
 
◆逮捕・家宅捜査はどう行われたか 
 
10月24日、神奈川県警公安三課と小田原警察署警備課が一体となって、鑑識課10人を含む20人が自宅を包囲、逮捕。同時にAさんの実家に10人、Aさんが所属する市民グループの事務局がおかれているS社に10人が家宅捜査に押し入る。翌25日には関西・S社に五人以上が家宅捜索を強行。 
 
  押収したのは、逮捕容疑の「免状不実記載」とは全く関係ない諸友人、ネットワークの連絡先、資料、団体の財政記録、私の自転車の鍵から事務所・自宅などの鍵類、キャッシュカード、預金通帳などなど。 
 
  家宅捜索は、自宅の場合、Sさんのパートナーのタンスまでにおよび、引き出しを開けたりした。実家では母親の服類までチェックするという徹底した「いやがらせ」。指紋採取のために部屋中に特殊粉をまき散らした。パートナーや母親は、このような不当な捜索に抗議し続けた 
 
◆市民のくらしを蹂躙する逮捕容疑 
 
  そもそも「免状不実記載」なる「犯罪」は、罰金、在宅送検のレベルのものであり、この罰金、在宅送検ですら滅多に適用されることはない。今回の不当逮捕は、反戦ビラ配布弾圧にみられるように、なんでもありの弾圧の状況に入ったのだということを、あらためて認識させた。 
 
  Aさんは次のように述べる。 
 
 「事実として、住居変更はしていませんでした。それは第一に、パートナーKさんとの合意(夫婦別姓、事実婚、住所は実家のまま、同居はする)があったからです。第二の理由としては、疎遠に陥りやすい母親(一人住まい)とのコミュニケーションを維持するために、私の郵便物を実家に届くようにしておきました。つまり、郵便物を取りに行くということで、最低、月に一回以上、実家に行くように『自己強制』していたのです」 
 
  一市民、ひとりの生活者として、まわりの親しい人とどういう関係をつくりながらともにくらしていくかは、権力が犯すことができない領域に属する事柄である。その部分に土足で踏み込んだきたことに、今回の弾圧の特徴がある。 
 
◆取調べはどう行われたか 
 
  神奈川県警公安三課による取調べは連日五時間×十日間にわたった。Aさんは、雑談でさえも一切応じず黙秘を貫ぬいた。 
 
  Aさんは次のように報告する。 
 
「取り調べは、事実関係は三割にすぎず、あとの七割は、『落とす』ための雑談を『エサ』に公安の取り調べの土俵に乗せようとしてきました」 
 
「取調官は、最初っから男主義、反ジェンダー、差別・排外主義に満ちた内容に貫かれていました。例えば、スポーツ根性物語、機動隊時代からの自慢話、『男なら話せる。男だったら組織より自分を大事にしろ』、『北朝鮮が攻めてきたら闘えるのか』などなどでした。全く反応せず、うなづきも、めくばせもしないと、突然怒りだすのでした。こんなのが連日五時間×十日間続きました」 
 
◆Aさんからのメッセージ 
 
  「無事帰還」(11・2)しました。ご支援ありがとうございました。 
 
  今回の弾圧は、共謀罪「成立」を射程にしながら、明らかに憲法改悪・教基法改悪反対闘争、さらに三里塚・静岡空港反対運動をはじめとする運動の破壊と混乱を目的とした先制弾圧としてあったことです。 
 
  公安政治警察は、強奪したものをコピーし、第二次弾圧、第三次弾圧に向けた戦略・戦術の着手に入りました。 
 
  すでに私とパートナーは、公安政治警察と協力者による日常的な監視態勢を許さず、一切の弾圧を許さない決意をいたしました。また、母親にまで及ぶ人権蹂躙を行ったわけですが、共に反撃していく「態勢」を形成し、さらなる運動の大きなうねりを作っていくために闘っていきたいと思います。その実践的反撃の第一歩として、国家権力の不当逮捕と家宅捜索に対して損害賠償民事訴訟の準備をしています。 


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