2006年11月16日20時56分掲載
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「華人は脇に追いやられてない」 マレーシア副首相が反論
【クアラルンプール16日=和田等】マレーシアのナジブ副首相は、今月13日に開幕した与党第1党・統一マレー国民組織(UMNO)党大会で演説、「マレーシアの華人は社会の脇に追いやられている」としたリー・クアンユー・シンガポール顧問相の主張に対して”証拠”を示し反論した。マレーシア各紙が報じた。
副首相が反論の根拠にあげたデータは、マレーシアにおける世帯当たりの月平均収入。そによれば、華人系世帯の月平均収入は1976年の796リンギット(約2万5500円)から、2004年には4437リンギット(約14万2000円)に増えた。
これに対し、マレー系世帯のそれは76年時の339リンギット(約1万1000円)から2711リンギ(04年、約8万7000円)に増えたものの、04年の時点で華人系世帯とマレー系世帯の間には1700リンギット(約5万4000円強)以上の差があるという。
副首相は「この事実に基づけば、リー顧問相の主張は受け入れられない」と強調した。
副首相はまた、政府はマレー人およびブミプトラ(マレー系の土着住民)の社会的・経済的地位の向上に努めているが、華人社会の位置づけを決して無視しているわけではないと語った。
さらに副首相は、首相府経済企画部による昨年のデータによれば、商業ビル・施設のブミプトラの保有率は11.7%にしかすぎず、華人の保有率は71%に達しているとの数字をあげた。
リー顧問相はさきごろ、シンガポールでのフォーラムにおいて「マレーシアとインドネシアの華人は社会の脇に追いやられ、体系的に従属させられている」と発言。マレーシアの政府指導者から猛反発を受けていた。これに対してリー顧問相はマレーシアのアブドラ首相に謝罪したものの、発言自体は撤回していない。
一方、エフェンディ・ノルワウィ首相府相が13日に明らかにしたところによれば、2004年末時点の法人部門におけるブミプトラの株式保有率は18.9%であり、経済企画部(EPU)が作成したデータでは2005年末時点には21.8%に上がったと強調した。同相によれば、EPUの数字はマレーシア会社登録委員会に登録された実働企業6万9595社を対象に算出した数字。
なお、2000年と04年の株式会社の株式時価総額(連邦政府および州政府保有の株式を除く)でみた民族別株式保有率は以下の通り。
所有者 株式保有率(%)
2000年 2004年
■ブミプトラ 18.9 18.9
−個人 14.2 15.0
−団体 3.0 2.2
−信託機関 1.7 1.7
■非ブミプトラ 41.4 40.6
−華人 38.9 39.0
−インド人 1.5 1.2
−その他 0.9 0.4
■ノミニー会社 8.5 8.0
■外国人 31.3 32.5
*)出典:マレーシア会社登録委員会
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