2006年12月01日10時36分掲載  無料記事
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シリコン解禁で豊胸手術がブームに? 安全面では不安視する声も

 米食品医薬品局(FDA)が11月半ばに、主要メーカー2社が製造したシリコンジェル(ケイ素樹脂)バッグを使った豊胸手術を認可した。1992年に乳がんの発生や免疫機能を損ねるとの理由で凍結されていたシリコンジェルは今回14年ぶりに解禁となった。米カリフォルニア州にある主要メーカー2社では、今後シリコンジェルバッグの需要が伸び、売り上げが急増するとみている。しかし、シリコンの使用については、依然安全上問題があるとの声は消えていない。(ベリタ通信=江口惇) 
 
 米紙ロサンゼルス・タイムズは、最近の記事でシリコンジェルによる豊胸手術が、今後ブームを迎えるだろうと予想した。米国では2005年に豊胸手術を受けた患者は、29万人に達しているが、シリコンの使用が禁止されていたため、大半が、生理食塩水を使ったバッグを埋め込んでいる。 
 
 生理食塩水バッグは、体内でバッグが破裂しても、吸収された後、尿として排出されるため、安全上問題はないとされている。 
 
 しかし、胸を自然な感じに大きくする点では、生理食塩水バッグは、シリコンジェルバッグより劣るとされている。このためメーカー企業や整形外科医たちは、生理食塩水バッグを埋め込んだ多くの女性たちが、シリコンジェルに切り替えるだろうと予測している。 
 またFDAがシリコンの使用を認可したことで、認可を待っていた女性たちによる豊胸手術に拍車がかかり、シリコンジェルの需要が伸びるとみられている。 
 
 カリフォルニア州にある豊胸用バッグの二大メーカーである「メントー」(本社サンタバーバラ)と「アレガン」(同アーバイン)の2005年の売り上げは、計4億6400万ドル(約55億円)に達しているが、大半が生理食塩水バッグの販売だ。 
 
▼長期的には需要20億ドル 
 
 シリコンジェルバッグは、生理食塩水バッグより値段が二倍と高く、一対で1800ドル(約21万円)するという。この結果、シリコンジェルバッグの需要が増えれば、メーカー側の売り上げは、長期的にみて今後20億ドル(約2400億円)にまで伸びると予想されている。 
 
 サンタバーバラで開業する医師の下には、FDAの認可の後、シリコン手術への問い合わせが一日に十数件あるという。 
 
 豊胸手術は、美容目的のほか、乳がんなどで胸を失った患者らが必要としている。FDAはシリコン手術を受けるのは22歳以上の者とし、またシリコンジェルバッグは永久的に使用できるものではないため、交換の手術が必要になるとしている。 
 
 また大手二社に対し、シリコンジェルバッグが長期的に安全かどうかの研究を行なうよう義務付けた。さらに埋め込み手術を受けた女性は、バッグが破れていないか、定期的な診断を受けることが必要になる。 
 
 FDAのこうした”警告“を受け、シリコンジェル手術を躊躇する人が出ることも予想されている。整形外科医の中には、シリコンジェルの使用を進める側と、やや躊躇する側が存在している。ある医師は、シリコンに関しては、人によっては、アレルギー反応を出す人もいると話している。 


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