2006年12月01日14時49分掲載
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宗教過激派批判の演劇めぐり乱闘 サウジの大学文化祭
【東京1日=齊藤力二朗】映画館や劇場が皆無で、保守的な宗教国家であるサウジアラビアでこのほど、宗教過激派を批判した大学文化祭の演劇に激怒した過激派の観客が、役者や学生らに襲いかかる事件が起きた。11月28日付のミドル・イースト・オンラインが報じた。
サウジアラビアの各紙やインターネット・サイトは同28日、「サウジアラビアの宗教過激派を批判した演劇は、怒ったイスラム主義者らの起こした騒ぎの中で幕を閉じた」と伝えた。
ロンドンで発行されているアラビア語紙「アル・ハヤート」やインターネット・サイト「イラフ」は、「(首都)リヤドのヤマーマ・カレッジの文化祭で行なわれていた演劇『中道性なき中道派』が開演されると、同劇を中止させようとする男たちの一団がステージに上った」と報じた。
このため、殴り込みをかけたイスラム主義者たちと、学生、役者らの間で椅子が飛び交い、互いに棒で打ち合う事態に発展し、駆けつけた警官たちはこの騒ぎを収めるため威嚇発砲したという。アル・ハヤート紙は騒乱時の写真を掲載した。
またイラフは、「警察当局は騒ぎを演じた17人を逮捕したが、内務省報道官による事件直後のコメントは出されなかった」と伝えた。
保守的なサウジアラビアには劇場や映画館は存在していない。
イスラム主義者らは昨年(8月1日)、サウジアラビアでアブドッラー・ビン・アブドルアジーズ皇太子が国王に即位して以来、新体制が改革路線をとることで、自由主義者らが国内の主導権を握るようになるのを懸念している。
2003年にはアル・カーイダに所属する過激派が、政権を打倒するための襲撃事件を起こしたが、治安対策の強化を受けて攻撃は下火になっている。
続報によると、文化祭での演劇は役者も観客も全員が男性だった。
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