2006年12月04日18時26分掲載
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アニメーション制作に力入れる中東メディア
11月27日から29日まで、アラブ首長国連邦のドバイで中東最大のメディア見本市「メディア・アンド・マーケティングショー2006」が行なわれた。1990年代初めに始まった映像メディアと広告の展示会で12回目。87ヶ国・270社が出展した。中東では最近、実写に比べて規制の緩やかなアニメーション制作の世界に入る若者が増えている。(ドバイ=トニー高橋)
今回目立ったのは、アニメーション広告の売り込みや、メディア関係のフリーランスの人材を提供する派遣会社の出展が増えたことだ。「中東報道は人手が足りなくなる市場に成長した。ニュースなど硬派な分野だけでなく、見本市やエンターティメントなどの軟派の分野でも人材が引っ張りだこの様子だ」と、ガルフタレント社のサルマン・ジャリリさん(45)は強調した。
カメラマン、DJ、音声スタッフら300人弱を抱え、クライアントの条件に応じてフリーランスの人材を提供。会社を設立してから2年でその数は3倍に膨れ上がっている。注目されるのは、アニメーションデザイナー派遣の依頼が増えていることである。
「アニメーションは実写映像に比べると検閲の制限内で表現ができるため、衛星放送に限らず地上波放送でも受け入れてもらえるのが需要増の一番の理由だろう」と、SAEインスティテュート顧問のジェーソン・ワイドさん(38)は説明した。
ワイドさんによると、写真や実写映像に女性の素肌やアルコールなどが入いると検閲されることが多いという。それが原因で放送が中止され、作り直しを余儀なくされる場合もある。
ところが、アニメーションは幻想の世界であるため規制が少ないだけでなく、技術的にもCGを取り入れた実写よりも神秘的な映像を作ることができるとジェーソンさんは述べた。
「現在、400人の生徒がアニメーションを学んでいる。1年の実践コースを終了すると広告代理店か番組制作会社に就職して、アニメーションを作成する人材として活躍しているのがほとんど」
中東でもアニメーションは幅広く受け入れられている。そのため日本のアニメーションに憧れて学び出す若者が多いことも事実だ。「宮崎駿や松本零士の評価はアラブ世界でも高く、『教祖的』存在として慕う若者も少なくない」とジェーソンさんは言う。
アニメ文化の花が今後、中近東でどのように開くのか期待される。
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