2006年12月14日10時56分掲載
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ロス市警警官の暴行をばっちり撮影 署内カメラのため即逮捕
米ロサンゼルス市警(LAPD)が相次ぐ警官の暴行で揺れている。警官の暴行の模様は、これまで民間のビデオカメラによって撮影され、警官の暴行が告発されていた。しかし、今度は警察署内での暴行の模様が監視カメラに収められ、犯行の実態が明らかだったため、LAPDでは、この暴行警官を逮捕した。なぜ、LAPDで警官による暴行が相次ぐのかはわかっていないが、LAPD当局者は「警察の危機だ」と不安を募らせている。(ベリタ通信=江田信一郎)
米メディアによると、今回浮上したのは、16歳のラティーノ(中南米系)の少年に対する暴行。事件の経緯は次の通りだ。
少年はガールフレンドの少女とともに12月5日深夜、ロサンゼルスのチャナナタウンを歩いていた。これはパトロール中のシーン・ミード警官が見つけ、職務質問した。未成年者が繁華街を夜中に徘徊することは許されてない。
ミード警官は少女の両親に連絡を取り、少女は迎えに来た両親に引き取られた。しかし、少年は逮捕され、警察署に連行された。そこで写真などを撮られ、警察の記録に残された。
トラブルはその後に起こった。取調室には手錠をかけられた少年がいた。その少年に対し、ミード警官は、背後から少年に首に手を回して「チョークホールド」を数秒間続けた。その後、警官は少年の手錠を外し、取っ組み合いを演じた。
▼取調室に監視カメラ
騒ぎを聞いて近くにいた警官も駆けつけた。少年は病院に運ばれたが、けがはなかったという。少年の話では、警官は少年を壁にたたきつけたという。当初、警官たちは、取調室の模様を映している監視カメラの存在を知らなかった。
実は、以前に取調室のいすなどが壊される事件が起きていたため、警察署で監視カメラを設置したいたことがその後わかった。
LAPDの警官による暴行のビデオは、最近としては今回が3回目。11月にはハリウッドでギャングの一員を取り押さえる際、警官が動けなくなった男の顔面にパンチを数回浴びせた。このビデオがネット上で公開された数日後には、手錠をかけられた男にペパー・スプレーをかけるシーンが、やはりネットで公開された。
映像を見たウィリアム・ブラットン本部長は、少年への暴行は何ら挑発がないのに行なわれたと指摘。「ビデオを観た限り、LAPDとしてはまったく容認できないものである」と述べた。
警察の不祥事を調査するLA警察委員会のジョン・マック委員長は、「子どもが逮捕され、手錠をかけて取調室に座らせた。そこへ警官がやってきた暴行を加えるというのは、まったくわけがわからず、許しがたい」と指摘する。
▼LA市長が権力乱用戒める
アントニオ・ビリャライゴサLA市長は声明を発表し、「事件を深く憂慮している。警察による力の乱用、特にそれが未成年者に向けられる場合は、警察に対する信頼をおびただしく傷つける。日々市民の平和のために働いているLAPDの勇気ある警官たちに対する侮辱でもある」と語った。
ミード警官は7日に1万ドルの保釈金を払った釈放された。LAPDの公開しているブログで、ある警官は、世論の声でミード警官を断罪すべきではない。裁判で有罪になるまで彼は無罪であると弁護している。
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