2006年12月19日01時36分掲載
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麻薬におぼれ人生を狂わせた教育ママ 道路の溝で遺体で見つかる
米ニュージャージー州アトラティックシティー近郊で11月、女性の絞殺死体が道路の溝の中で発見された。女性はフロリダ州出身で、数年前までは子どもの世話に熱心で、学校の活動にも積極的に参加する模範的な母親だった。しかし、数年前に麻薬におぼれ、家族を捨て、新たな男の下に走り、生活の糧を手に入れるために売春婦としても働いていた。アトラティックシティー周辺では、売春婦を殺害する連続殺人事件が多発しており、この女性もこの犠牲になった可能性があるという。(ベリタ通信=江口惇)
米紙マイアミ・ヘラルド(電子版)によると、この女性はキム・ラフォさん(35)。数年前までは、フロリダ州で平凡な生活をしていた。二人の子どもの小学校の遠足にも付き添うなど、教育に熱心な人柄だった。週末には、4部屋ある自宅に、友人などを招き、パーティーをよく開く、社交家だった。キムの母親ジョアン・ダニエルさんは「彼女は“スーパー・ママ”だった」と述懐する。
夫は大工のヒュー・オースランダーさん(42)。18歳で結婚し、23歳までに二人の子どもをもうけた。しかし、30歳以後彼女の生活は一変する。
平穏な家庭生活に亀裂が生じた始めたのは、キムさんが、フロリダ州のハリウッドにある料理学校に通い始めてからだった。シェフになれば副収入が得られるとの期待もあった。
▼人生変えた前科者との交際
そこでキムさんは、同じ生徒だったケニー・ビリキと名乗る男性と知り合い、付き合い出した。ビリキは、麻薬所持や、売春斡旋で刑務所に入っていた前科者だった。
夫のヒューさんは、仕事の関係でニュージャージー州に行くことが多く、自宅にいないことも多かった。キムさんは、ケニーを通じて麻薬に手を出すようになった。ヒューさんは、妻は若いころ得られなかった何かを取り戻そうとしたようだと話している。
ある日、酒に酔い、麻薬を服用した高揚した状態で帰宅した。ヒューさんがたしなめると、その後荷物をまとめ、ケニーの下に去ってしまった。
ヒューさんは、妻を取り戻そうとして、けんかとなったケニーのあごの骨を砕くけがをさせた。ヒューさんは裁判で禁固2カ月の刑務所行きを命じられた。以後、二人の子どもは、ニュージャージー州の里親の下で育てられている。
その後、キムさんは、売春や麻薬保持で警察に逮捕されている。ケニーも麻薬所持に絡んで逮捕され、現在にニュージャージー州の刑務所に入っている。
キムさんはアトラティックシティー周辺のレストランの常連だったという。午前3時ごろ、顔を出し、窓際に座った。いつも卵やソーセージ、それにジュースを注文し、短い四方山話をしたものだった。その後、カジノの客などを見つけるため、街に中に消えていったという。
夫のヒューさんは、キムさんを追跡し、何度か更生するよう説得している。10月には、キムさんは「売春生活には疲れた。家に戻りたい」とヒューさんに話し、二人はブルックリンのアパートで、再出発を図る予定だった。
キムさんの遺体が見つかったのは11月の感謝祭の休暇中。ロープか何かで首を絞められた形跡があった。アトラティックシティー周辺では、売春婦が連続して殺害される事件が多発している。ヒューさんは、殺害現場に足を運び、そこに立てられた粗末な墓標の前に座り込み、キムさんの冥福を祈った。
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