2006年12月19日19時47分掲載
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「愛」を求めた中年男性の悲しい末路 絞殺され遺体を焼かれる
ネットを通じて海外の恋人を探すのが米国で人気を呼んでいる。だが、一歩間違えると悲惨な結果を生むようだ。米カリフォルニア州サンフランシスコに住む中年男性が、ネットで知り合ったブラジル女性と結婚しようと、ブラジルに渡ったものの、この女性の狙いはあくまでも金銭目的。挙げ句の果て、男性は殺害され、しかも遺体を焼却されるというむごい仕打ちを受けた。男性はこんな悪意を持った女性の本性を見抜けなかったわけだ。関係者は、彼は孤独で常に「愛」を求めており、それが裏目に出たと話している。(ベリタ通信=江田信一郎)
ネットを通じた恋人探しの場合、公開されている写真などを見た男性が、何度か電子メールや電話でやり取りをした後、女性が住む外国の地を訪れるのが普通だ。相手の女性がロシア人なら、ロシアへ、中南米諸国の女性なら、コロンビアやアルゼンチンなどの国を訪れ、実際に面会するというものだ。
恋人を必死で探している者は、この際贈り物や、時には金品を贈り、相手の女性の歓心を買おうとする。しかし、相手の女性に下心がある場合は、こうしたやり取りは危険な結果を生みやすい。
米紙ロサンゼルス・タイムズによると、レイモンド・メリルさんは、56歳の誕生日を迎えるころ、ガールフレンドとの関係が切れた。元々寂しがり屋のため、ネットで恋人探しをする。そこで出会ったのが、ブラジルで美容関係の仕事をしている40歳代の離婚歴のあるレヒナ・ラヒードだった。
メリルさんは、ギターのミュージシャンで昔アルゼンチンで10年間バンドの一員として活躍したことがあった。その時、アルゼンチン人女性の恋人がいた。その後米国に戻り、ラスベガスや、サンフランシスコに住んだ。この間、大工の仕事で生活の糧を得ている。
メリルさんは2005年11月にブラジルを初めて訪れる。女性には22歳の娘と息子があった。ともかく、メリルさんが意中の人を見つけた感じになった。しかし、その後ラヒードは金の無心をするようになった。メリルさんのクレジットカードが勝手に使われたのもそのころだった。
▼3度目の訪問時に遭難
メリルさんは多少不満を感じていたようだが、あまり問題にしなかった。06年1月に訪問した際、ラヒードさんに2万ドルのSUVを贈っている。同年3月、メリルさんは3回目の訪問をした。5000ドルの婚約指輪も買っていた。
しかし、4月4日の帰国予定日にメリルさんは米国に戻らなかった。実はこのとき、メリルさんは既に絞殺され、ラヒードやその共犯者たちに遺体を焼かれていた。
メリルさんの家族がブラジルの警察に失踪願いを出し、米連邦捜査局(FBI)が動き、ラヒードらを逮捕した。ラヒードは、メリルさんの銀行カードを持っていた。この間、遺体は、身元不明者の墓地に埋められていたが、共犯者が犯行場所を供述したため、身元が確認された。
その後の調べで、メリルさんの口座から、06年2月から5月にかけ、13万2000ドル(約1600万円)が引き落とされていたのがわかった。警察がラヒードの家を捜索したところ、自宅がかなりの資金を使って改装され、またラヒードが娘に車を買っていることも明るみに出た。
ラヒードの自宅からは、相手を眠らせるドラッグ「レイプ・デート薬」が発見された。警察では、何かしらの薬を使い、メリルさんから銀行の暗証番号を聞き出したとみている。
殺人罪で訴追される見通しのラヒードは「銀行のカードは、彼がくれた」とうそぶいているという。メリルさんの知人は「彼は夢を信じすぎた。それが彼に死をもたらした」と語った。
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