2006年12月28日14時14分掲載
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中東
イラクで自殺者が急増 脅迫など心理的ストレスが原因か 旧政権時代の10倍との指摘も
【バグダッド27日=IRIN】戦火が続くイラク国内で、殺人、誘拐、脅迫など容赦のない暴力による心理的ストレスに耐えきれなくなり、自殺する人々が増えている。イラク保健省の自殺問題の専門家ムハマド・ハムザ医師は「自殺者は増えており、引き続く暴力が原因であることはさまざまな証拠から明らかだ」と語っている。
ハムザ医師によると、自殺者が両親などに宛てた遺書の中で上げている最も多い自殺の理由が「これ以上の暴力にもう耐えられない」という内容だという。
同医師は「今週起きた二つの自殺のケースの一つは、毎日のように命を奪うという脅迫を受け続けていたことが原因だった。もう一つは、夫を殺された女性が絶望のあまり死を選んだケースだった」と話している。
同医師によると、自殺の方法の7割は殺そ剤、殺虫剤などを使った服毒自殺。他の方法は銃によるもの、首つりなど。
バグダッド市内の病院などの統計によると、今年1月以降、毎月
約20人が自殺、約30人が自殺未遂を図っている。
保健省の自殺問題に関する別の専門家のアーメド・ファタ氏によると、サダム・フセイン政権時代のバグダッドにおける自殺者は毎月一人か二人だったという。
保健省によると、イラクに吹き荒れる暴力によって、政治的、経済的特権を持たない人々ほど、より重い心理的負荷を受けている。同省当局者は匿名を条件に「特権を持たない人々は自分を守る術もなく、経済的理由から国外に脱出することもできないためだ」と指摘した。
自殺問題専門家のファタ氏は「今のところ自殺者は大人ばかりだが、やがて子どもの自殺が起きる可能性がある」と懸念している。
世界保健機構(WHO)のアマン・ジョルダン氏は、イラク国内における自殺者の統計をWHOは持っていないとしたうえで、「イラク国内の生活状況からすれば、自殺者が増えたとしても驚くことではないだろう」と述べている。
*IRIN
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