2007年01月03日08時13分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200701030813463

奇跡か、死亡宣告された赤ん坊生き返る 脳に異常なく健康

 生まれた赤ん坊は体が青白く、心臓の鼓動も聞こえなかった。医師や看護婦たちは、赤ん坊を助けようと懸命に蘇生術を施した。しかし、赤ん坊から反応はなかった。21分間に及ぶ蘇生術の後、担当医師は、赤ん坊の死亡を宣告した。敬虔なクリスチャンの父親は、赤ん坊の胸に手を置き、祈りを捧げた。母親は、赤ん坊を愛撫をした。その時、「奇跡」が起きた。赤ん坊の心臓が動き出したのだ。(ベリタ通信=江田信一郎) 
 
 死産と見られた赤ん坊が、蘇生することはあるが、出産から10分も経過していると、酸素摂取ができないため、脳に損傷を受け、完全な回復は困難とされる。今回、蘇生した赤ん坊は、心臓が動き出すまで21分もかかっているが、脳にまったく異常はなかった。医師たちも驚き、両親は「奇跡」に感謝した。 
 
 米紙プレス・エンタープライズによると、11月27日未明、米カリフォルニア州ヘメット市に住むマリア・エルナデスさん(36)は、激しい陣痛に襲われた。夫で大工のマヌエルさん(35)を起こし、病院に向かった。 
 
 出産まで13時間かかった。分娩室には、夫と、娘のチェリッサさん(14)が一緒に入った。赤ん坊の頭が出てきたが、夫はへその緒が赤ん坊の頭と首の周りに巻きついていることに気づいた。マリアさんも異変を感じ取った。予想していた赤ん坊の泣き声が聞こえてこないからだ。マリアさんは、夫とチェリッサさんが祈りを捧げているのを耳にした。 
 
 医師団が遂に赤ん坊を取り出し、マリアさんのそばのベッドに寝かせた。赤ん坊は女の子だった。へその緒は切られ、赤ん坊に酸素マスクがつけられた。マリアさんが目にした赤ん坊は、青白かった。そばで看護婦たちが祈りを捧げ、彼女たちの目には涙があふれていた。 
 
 午後2時59分、赤ん坊の死亡が宣告された。それを知ったマリアさんは、「ああ、神様」と言って泣いた。医師団が去った後、夫マヌエルさんは、赤ん坊の胸に手を乗せ、「神よ、私は、過去も今も、あなたが私を見捨てたとは思わない」と祈った。マリアさんも赤ん坊を愛撫しながら、「娘よ、あなたは今生まれたばかり。闘って」と祈った。 
 
 その時、マリアさんが、赤ん坊が呼吸し始めたのに気づいた。再び医師団が招集され、容体を安定させた後、ヘリでより設備の整ったロマ・リンダ大学の小児病院に搬送した。 
 
 赤ん坊はシアラと名づけられ、12月8日に退院した。今のところ、健康で何の異常もみられないという。赤ん坊が21分も後になって蘇生したことについて病院側では、体の機能が動き出すのに時間がかかったためと説明。その上で蘇生するまで、酸素マスクがつけられたために、赤ん坊は生きながらえたと指摘している。 
 
 マリアさんたちは、神によって、赤ん坊に生命の息吹が吹き込まれたと感謝している。一方、マリアさんの担当産科医のレナト・フダレナ博士は、今後赤ん坊に異常が現れないかどうか、モニターを続けていく考えだ。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。