2007年01月03日22時18分掲載
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モスク建設なら豚レースで対抗と反発 米テキサス州で地元住民
米テキサス州ヒューストン近郊のケイティ市(人口1万3000人)に、イスラム教のモスク(寺院)が建てられることになり、地元住民から、モスクはテロリストの温床になると不安の声が上がっている。建設予定地の隣の住民は、モスクが建設されれば、イスラム教の金曜礼拝の日に、不浄の動物とされている豚の競争レースを将来的に開催すると主張するなど、波紋が広がっている。(ベリタ通信=江口惇)
米紙ロサンゼルス・タイムズなどによると、ケイティ市は、白人中流層家庭と、小さな農場が広がる静かな街だが、過去にイスラム教徒の流入が起き、これまでに500人が生活している。ケイティ・イスラム連合はことし10月に、地元の地主から約4万4000平方メートルの土地と家屋を購入、モスクやコミュニティー・センターなどを建設する計画を明らかにした。土地購入費は110万ドル(約1億3000万円)と推定されている。
土地購入までは、普通の経済取引だったが、イスラム連合が、隣家で家畜を飼っていたクレイグ・ベイカーさんの土地の購入を望み、ベイカーさんの立ち退きを要求したとの話が広がり、問題が大きくなった。この話は、ベイカーさんが明らかにしているが、イスラム連合は、そのようなことを持ちかけた事実はないと否定している。
一方、イスラム連合には、地元から、同連合が購入した土地を120万ドルで購入するとのオファーがなされた。しかし、代表のカメル・ファトウ氏は「どのようなオファーがあっても、我々は動かない」と話している。
イスラム連合が購入した土地には、既に建設予定の立て看板が立てられている。これに対し、隣家のベイカーさんも、将来、モスクが建設されるのをけん制する意味で、「金曜日の夜の豚レース」という横断幕を掲げて対抗している。
イスラム教徒は豚を食べない。豚を忌み嫌うのは徹底しており、モスクのそばで豚レースを開催するというのは、イスラム教地にとっては穏やかな話ではない。
一部のモスク反対派はウェブサイトを通じて、2001年の9・11同時多発テロは、イスラム教徒によって引き起こされたと述べ、モスクの建設に不快感を示している。
また他の住民は、モスクの建設などが始まれば、騒音や、交通渋滞、下水などの問題が起きるばかりか、土地の価値も下がると主張している。
米国ではイスラム教徒に対する不安感が広がっており、ケイティ市の問題も必ずしも珍しくない。世論調査機関ギャラップ社が夏に行なった調査では、回答者の4分の1が、イスラム教徒の隣人になるのを望んでいない。また3分の1が、イスラム教徒は、国際テロ組織アルカイダに共感を寄せていると考えている。
これに対し、イスラム連合では、地域の土地所有者の会合では、必ずしも反発ばかりではないと反論している。多くの人が握手を差し伸べてきたと語り、支持も得られていると述べている。またモスクが建設されると、祈りの時間を告げる声が外に流れるとの主張に反論し、それは建物の内部で行なわるものだと説明している。
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