2007年01月17日01時14分掲載
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ユタ州からスキー場が消える? 地球温暖化で増える不安の声
世界的に地球温暖化が進んでいる。米国では真冬を迎えているが、例年よりかなり暖かくなっている。ニューヨーク市の公園セントラルパークでは、季節外れの暖かさで、例年なら春になるはずの桜が開花している。ブッシュ米大統領は、地球温暖化にはあまり熱心に取り組んでいない印象を与えるが、地方の自治体や市民レベルでは、地球温暖化に対する不安の声が日増しに高まっている。(ベリタ通信=江口惇)
米海洋大気局(NOAA)傘下の米気候データセンター(ノースカロライナ州)が1月9日に発表した報告によると、米国本土の「ロウアー48州」(アラスカ、ハワイを除く)の2006年の年間平均気温は、20世紀の平均気温より、1・2度(摂氏)高く、1895年の観測開始以来、最も暖かい年になった。
年間としては、これまで最も暖かかったのは1998年だが、06年は同年より0・04度高く、この記録も更新した。
米国では現在でも例年よりは気温が高い。この冬、暴風雪に襲われたコロラド州デンバーは、1971年から2000年までの平均気温より、依然高い状態が続いている。暖房油やエネルギー消費も例年を大きく下回っている。
ブッシュ政権が地球温暖化対策で音頭を取らないため、カリフォルニア州などの自治体が地方レベルで温室効果ガスの原因とみられる二酸化炭素(CO2)の排出量規制に動いている。シュワルツネッガー州知事は1月に、2020年までに自動車などから出るCO2の排出量の10%削減を提案している。
一方、有名なスキー場を抱えるユタ州では、地球温暖化によって、雪が奪われるのではないかとの不安の声が上がっている。
ユタ州ソルトレークシティーから東方のパークシティーでは、地球温暖化がスキーリゾート地に与える影響を、学者らに委嘱していたが、このほどその調査結果が公表された。
パークシティーは2002年の冬季オリンピックが開催され、雪質の良さを誇り、多くのスキーヤーが訪れている。スキー場が地球温暖化によってどう変わるのか、地元リゾート関係者の関心の的になっている。
調査は、コンピューターを使って2030年、2075年、2100年の影響を予測した。パークシティーには、標高2000〜3000メートルの山があるが、温室効果ガスの排出量が現在のままで放出されても、気温の上昇がわずかのため、スキー場に大きな変化はないとしている。
しかし、2075年には気温が5度以上、上昇するため、スキーシーズンは年間2、3カ月程度に減るという。さらに2100年になると、気温がさらに上昇し、スキー場から雪が消えてなくなると予想している。雪が消えれば、現在ソルトレークシティーが山から利用している水も大幅に減少する。
パークシティーの14歳のスキー少女は、大きくなったらスキーができなくなるのだろうかと不安を訴えていた。
調査報告は、現在の状態で温室効果ガスが増えていくことを想定しているが、CO2などを規制すれば、スキー場への影響をある程度は食い止められるとの見方も示している。
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