2007年01月22日17時35分掲載
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新教育基本法「骨抜き」のすすめ 矢倉久泰(教育ジャーナリスト)
▽教基法の精神は燃え続ける
あの日―2006年12月15日を境に、日本は平和国家から大きく遠ざかることになった。「平和な国家・社会を形成する市民」の育成をうたった教育基本法が改悪されると同時に、防衛庁が防衛省に昇格され、自衛隊の海外派兵が「本来業務」に格上げされることになったからだ。
教職員組合、市民団体らは教育基本法「改悪阻止」のために請願署名、集会、デモ、国会前での座り込みや「ヒューマン・チェーン」などを展開して闘ったが、残念ながら阻止できなかった。
「虚しさだけが残った」という人もいるが、私はそうは思わない。闘いに参加した教職員、市民たちは、あらためて教育基本法を学習し、その素晴らしさを再確認したわけで、きっと一人ひとりの心に、教育基本法の精神がふたたび点火し、こんご赤々と燃え続けることだろう。私はその精神に則った授業実践が行われることを期待したい。
▽愛国心教育が強化される
教育基本法が改悪されて学校現場はどうなるのか。すでに現行学習指導要領や「心のノート」などで「改悪」は先取り実施されている。今回の改訂は、それに拍車をかけることになるだろう。
「戦争のできる美しい国」づくりをめざす安倍政権は、いっそう「愛国心」や「伝統尊重」「公への忠誠」の教育を、「態度の評価」も含めて推進するにちがいない。教科書にも愛国心や伝統尊重、公共心の記述が増え、「愛国心をどう教えるべきか」といった新教育目標に合わせた教員研修が強化されることだろう。
しかも、安倍「教育再生会議」の第1次報告は教育委員会の監視強化をうたっている。教委の基準や指針を国が定め、評価委員会を設けて教委をチェックするという。これは新教基法で露骨に明記された「国家の教育権」と連動している。これにより、自民党は思い通りの教育政策を教育現場に押し付けてくるだろう。
▽平和憲法を守る「愛国心」
では、私たち市民はどうすればいいのか。新教育基本法の「改正」(まさに改正)を求める運動は当然必要だが、新教基法から逃げられないのだから、がっぷり四つに組む必要もある。たとえば「愛国心」。私は平和憲法を持つ日本国家を愛している。その憲法を改悪する動きにストップをかけるのも愛国心だと思っている。人それぞれの愛国心があるはずだ。
だから、自民党が求める「愛国心」には従わず、市民がめざす「愛国心」や「伝統」「公共心」について考えを出し合い、お互いの「内心の自由」を尊重しつつ実践していく。つまり新教基法を「骨抜き」にする取り組みが必要ではないかと思う。そのために「新教基法を換骨する会」(通称「骨抜きの会」)を結成することを勧めたい。
*本稿は「教育基本法『改正』反対市民連絡会ニュース」(07.1.20)からの転載です。
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