2007年01月23日02時50分掲載
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逆上殺人の妻に4億5千万円の支払い命令 不倫の夫をひき殺す
5年前の2002年、テキサス州ヒューストンにある一流ホテルの駐車場で、夫の密会に逆上した妻が、夫をひき殺した事件があった。妻は既に殺人罪で禁固20年の刑を受け服役中だが、男性の両親が、この妻を相手取って500万ドルの損害賠償を求める民事訴訟を提起。同州の裁判所の陪審はこのほど、妻に対し、375万ドル(約4億5000万円)の賠償金の支払いを命じる評決を下した。夫も妻も当時は歯科医として働いていたが、服役中の妻から実際に賠償金が徴収できるかは不明だという。(ベリタ通信=江田信一郎)
この妻は元歯科医のクララ・ハリス(48)。クララは02年7月24日、ヒューストンの海辺に近いホテルの駐車場で、愛人と密会しホテルから出てきた歯科医デービッド・ハリスさん(当時44歳)を、メルセデスベンツで何回もひき、死亡させた。
結婚10年目だったクララは、夫に愛人がいることを知り、関係を絶つよう求めていた。この間、クララは「ブルー・ムーン」という私立探偵事務所を雇い、夫の素行調査を続けた。夫は、愛人との関係を絶つと告げていたが、24日、私立探偵事務所から、二人がホテルに入ったとの電話があった。
クララはホテルに車で駆けつけ、ホテルロビーで、愛人の女性と口論になった。この女性は、夫の歯科医院で働いており、深い関係になった。ホテルの従業員が駆けつけ、二人を引き離したが、その後、夫が駐車場でひき殺された。
この様子は、探偵事務所のスタッフの隠しカメラに記録されていた。クララは2003年2月、殺人罪で禁固20年の刑を受けた。
賠償金の支払いについて、両親の弁護士は、クララが将来、自分のストーリーを本にしたり、映画にしたりすることで収入が得られる可能性があるとし、徴収に期待をかけている。
夫のハリスさんは生前、遺書を残しており、妻のクララを受取人に指名していた。夫との間には、双子の男の子があった。その後、遺言検認裁判所の裁定では、子どもたちが200万ドルを受け取り、クララが120万ドルの財産を受け取ることが決まった。
法廷には、クララはオレンジ色の囚人服を着て出廷。原告の両親も法廷に姿を見せた。クララは何度か義理の両親と視線を合わせようとしたが、両親は見ることなく退席した。両親は評決については、満足の意を表している。
閉廷後、陪審長は、クララにも同情すべき点があったと述べた。しかし、なぜ夫を車で一回ひいた後、止めようとしなかったのかと指摘。夫を死亡させた責任は重いとの認識を示した。
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