2007年02月01日23時07分掲載
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女子校など襲撃され生徒27人死傷 米軍占領後最悪の教育現場での惨劇
【バクダッド1月29日=IRIN】イラクの首都バクダッド市内など2ヵ所で1月28日、女子高校と小学校の生徒らが無差別テロに遭遇、7人の生徒・児童が死亡し、20人の女生徒が負傷した。同市西郊にある女子高の中庭にロケット弾数発が撃ち込まれ、生徒5人が死亡、20人が負傷した。また、バクダッド西方125キロの地点にあるラマディ町の小学校の近くでトラックに積まれていた爆弾が爆発し、児童2人が犠牲となった。国連児童基金(ユニセフ)などは直ちに犯行を糾弾、「イラク戦争開始後、教育現場で起きた最大の惨事。生徒と教師が教育現場で日々生命を脅かされている現状を一日も早く正常化せねばならない」との声明を出した。
事件が発生したのは日曜日。だが、イラクでは学校は通常の授業を行っていたもよう。バクダッド市サニアドル地区にあるコラウド女子高校の中庭に撃ち込まれたロケット弾の直撃で生徒4人が即死、負傷した1人は病院に運ばれたが間もなく死亡した。現地治安当局は犯人グループをまだ特定できていないようだが、反米抵抗勢力による無差別攻撃の可能性が高いとみられている。一方、小学校近くのトラック爆弾事件については詳しい情報は入っていない。女子高のナワル・ムハマド教師は「校庭で生徒の遺体を見た時はまるで戦場に入り込んだような錯覚に襲われた」とショックを隠し切れない様子だった。
ユニセフのバクダッド駐在員らによると、2003年の米軍のバクダッド侵攻以来、学校など教育現場も無差別な攻撃対象となっており、教育施設での被害も日常化しているのが現状という。イラク教育省のムハマド・ジャブリ広報官は「今やイラクの教育システムは崩壊状態にある。教師や生徒までが暴徒の攻撃対象となっており、このような教育現場での惨事発生はこの国が陥っているカオスを明確に示すものだ」と述べた。
多数の犠牲者を出した女子高生徒の家族らは事件に大きなショックを受け、大半が子供の登校を止めさせている。ある母親(34)は「子供が望んでもこんな状態では絶対に登校させるつもりはない。子供は勉強をしに学校に行っているのであり、(米軍と抵抗勢力との)戦場に出かけているのではない」と憤りながら語った。同校の生徒(13)は「どうして私たちが攻撃の対象になるのか理解できない。私たちは兵士でもゲリラでもないのになぜ襲われるのか。早く普通に勉強がしたい」と訴えている。
(リード&翻訳 加治康男)
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