2007年02月09日10時16分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200702091016205

浸水車両が米国の中古市場で急増 “カトリーナ”車も一因

 洪水などで水につかった車が、米国で大量に中古市場に流れている。浸水した車両などは、事故車と同じで、知らないで買ったりすると、後で故障が続出し、修理費に莫大な金がかかったりすることがある。米南部州では2005年8月に超大型ハリケーン「カトリーナ」に直撃され、大量の浸水車両が市場に出るとも予想されていた。最近の統計では、一部の州を除いて多くの州で水につかった車両が中古市場に出ており、自動車関係者は、ユーザーに注意を呼びかけている。(ベリタ通信=江口惇) 
 
 中古車の履歴調査をしているバージニア州にある「CarFax」は2002年から06年にかけて、市場に出回っている浸水車両などの実態を調査した。それによると、アラスカとハワイを除く各州で、水につかった車両が、中古市場に流れ込んでいた。 
 
 最も多かったのは、メキシコ湾に面した米南部の湾岸の3州。ワーストワンは、ミシシッピ州で、水につかった車の販売台数は、4年間で633%増加した。次がアラバマ州で374%の増加。次いでルイジアナ州の343%の増加だった。 
 
 以下、オクラホマ、バージニア、ミネソタ各州でも伸びが目立った。これに対し、伸び率が減少したのは、ネバダ州(4%減)とネブラスカ州(12%減)だけだった。 
 
 米南部は05年8月に超大型ハリケーン「カトリーナ」などに襲われ、浸水被害を出した。特にルイジアナ州ニューオーリンズでは堤防が決壊し、市内の大半が水浸しになる被害が出た。 
 
 当時、自動車関係者は、ハリーケーンで水につかった、いわゆる“カトリーナ・カー”が、全米の中古車市場に出回るだろうと警告した。水につかった車両は、修理しても、故障の原因が隠れている可能性があり、ユーザー泣かせの車であるからだ。 
 
 ハリケーンの後、悪徳な自動車業者の暗躍が心配された。自動車保険会社などから車を安く入手したものが、安価で即製の修理をした後、一見見栄えのいい車に変身させて中古市場に送り込むと予想された。今回の統計を見る限り、浸水被害を受けた南部沿岸州でそうした傾向が顕著に出ている。 
 
 車は水につかると、エンジン部や電気系統に問題が生じる。またブレーキ系統や、エアバッグにも影響が出るという。こうした“事故車”を買ってしまうと、故障が多発し、仮に直っても多額の費用がかかる羽目になる。 
 
 米メディアによると、浸水車両を見分けるためには、トランクを開けて水につかったようなにおいが残っていないかを調べたり、フロアマットの下に水につかったようなしみが残っていないかをチェックするのが必要だとしている。 
 
 ある自動車修理メーカーの経営者は、まずエンジンオイルのキャップをチェックするようにとアドバイスする。もしキャップの周りに白いミルクのような線が残っていれば、エンジンオイルと水が混じった証拠だと話す。 
 
 またさびなども大きな問題を引き起こすが、それよりも大きな問題は、目に見えないところに隠れていると指摘。具体的には電気系統が、水にやられていたら、新車を買ったほうが安くつくことになると警告している。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。