2007年02月13日11時11分掲載
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野党・イスラム党、華人の支持取り付けに躍起 マレーシア総選挙迫る?
【クアラルンプール13日=和田等】前国会議員の死去に伴い、マレーシアの中部パハン州バトゥ・タラム選挙区で1月末に実施された補欠選挙で与党連合・国民戦線の候補者が圧勝し、早期解散、総選挙が実施されるのではないかとの噂が出ている。アブドラ首相は噂をきっぱりと否定したが、有力野党・全マレーシア・イスラム党(PAS)は華人の支持取り付けに躍起となるなど早くも「臨戦態勢」に入っている。
同首相は、年末までの総選挙実施の可能性について「私にはわからない。もう少し待ちたい」と答えをはぐらかしたことから年内解散もあり得るとの憶測も出てきた。
国会議員の任期は2009年まで。首相は昨年打ち出した2006年からの5カ年開発計画、第9次マレーシア計画の効果が現れる今年半ば以降に総選挙に打って出るのではないかとの見方が有力だ。
早期に総選挙が実施されるならば、8月31日の独立50周年を経て国民の熱狂が盛り上がる余韻が残る中、ラマダン(断食月)入りする9月下旬までの間に解散、総選挙が実施される可能性が高いとみられる。
一方、アブドラ首相の人気の前に野党は劣勢ムードにある中、唯一野党が州政府の政権を握っているケランタン州政府を15年以上担っている全マレーシア・イスラム党(PAS)は中国正月向けに華字による8ページ立ての一部カラーのリーフレット「人民時事」を配布、華人の支持取り付けようと躍起だ。
PASは先頃、同州内に華人イスラム教徒向けに中国風のデザインを採り入れたモスクの建設に許可を出すなど、イスラム教国の建設を党是に掲げる同党に対して華人が抱くアレルギーを和らげようとする試みに乗り出した。
反マハティール感情を汲み上げ一時大躍進したPASはアブドラ政権の誕生以降人気が低迷、2004年の総選挙では国会の議席数を3分の1以下に減らし、次回選挙では長期死守してきたケランタン州政府を与党連合に明け渡す可能性も高くなってきているだけに必死だ。人口の4分の1を占め、選挙のキャスティングボードを握る華人へのアピール作戦に出たともいえる。
「人民時事」には、昨年末から今年1月中旬にかけてマレーシア各地を見舞った豪雨による洪水の被災者に対する救援・復興費としてケランタン州政府が100万リンギ(約3500万円)を拠出したことや、最大の洪水被災地となったジョホール州にPASが支援団を派遣したことなどが取り上げられている。
また、自党関連ウェブサイトのほか、他の野党、民主行動党や民衆正義党のウェブサイトや、マレーシアキニなどの独立系メディアによるウェブサイトを紹介するなど、ウィングを他の野党支持者や無党派層にも広げようと試みている様子がうかがえる。
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