2007年02月18日15時12分掲載  無料記事
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世界社会フォーラム

低下するメディアの扱い ひとつの段階に幕 世界社会フォーラム マリオ・ルベトキン

 【IPSコラムニスト・サービス=ベリタ通信】ナイロビで1月20日から25日まで開かれた第7回世界社会フォーラム(WSF)は成功したのにかかわらず、メディアの扱いはフォーラムの最初の数年の大きな扱いに比べて、小さくなり続けている。 
 
 2001年にポートアレグレで誕生した時と、続く2年間、多くのメディアは、数十万人を動員し、インターネットや従来のメディアやオルタナティブ・メディアを通じて数百万人の関心を集めたWSFの大きな現象を理解しようと注意を集中させた。 
 
 あるメディアにとっては、そのカギはスイスのダボスで毎年開かれる世界経済フォーラムに代るものの台頭であった。一方、幅広い個人とクループの一群(有名なNGOから、シアトルなどG8や国際通貨基金、世界銀行の会議が開かれた都市で大きな役割を演じた新しい運動にまで)が、開発や人権、平和という多くの分野で、抗議し、代案を策定するためにブラジルの小さな町に行った理由を捜そうとしたメディアもあった。 
 
 2003年にWSFの初期からの活動家であったルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバがブラジルの大統領に選出された時、彼の有名な補佐のほとんどが「オルタナティブ」ないし「対抗」型であったばかりでなく、重要な新興国で権力を握っていたため、多くのメディアはフォーラムの扱いが増えることになるかどうか尋ねた。 
 
 インドのムンバイで開かれた2004年のフォーラムでは、WSFについての情報量はアジアでは質量とも増えたが、ラテンアメリカと欧州では減少した。 
 
 当初からフォーラムを取材してきたメディアの多くにとって、2005年にポートアレグレに戻ってきたことは、目新しいことではなかった。一方、バマコ、カラカス、カラチで分散してフォーラムを開くという決定は、これまで1ヶ所の集まりに集中していた関心を分散させた。 
 
 今年のフォーラムがアフリカで開かれるということが知られ、市民社会によってアフリカ大陸で開かれる最も重要と思われる行事のためにケニアの首都に5万人以上が参集したという事実があるのにもかかわらず、報道における低落傾向に変化はなかった。対照的に、世界経済フォーラムの報道は常に高水準のままだ。 
 
 なぜこのように低下したのであろうか。それを国際ニュースの扱いを決める主要なメディアによる「イデオロギー的決定」に還元することは、たいした説明にならない。フォーラムを取材したジャーナリストへの気配りや支援が足りなかったこと、あるいはナイロビからの送信の技術的な制限のせいにすることも、同様である。 
 
 これはまた、討議から生まれたメッセージや提案(それらの多くは斬新的で大変興味深いものであった)の広まりにも影響を及ぼしたかもしれない。そうした要素はすべてWSF国際評議会と加盟グループが報道の減った理由を分析する際に考慮に入れられるであろう。 
 
 国連や市民社会の重要な会議の際にIPSによって製作される独立日刊出版物、Terravivaがナイロビから指摘しているところによると、参加者からの要求とは対照的に、特別に組織された委員会と資金があったのにもかかわらず、コミュニケーションはフォーラムの優先課題ではなかった。 
 
 ナイロビで並行して開かれたコミュニケーションのための第2回フォーラムがポートアレグレで合意し、ずっと実現していない同じ提案を繰り返したという事実は、この分野でのWSFの行動での限界を示している。その提案とは、それぞれのメディアでフォーラムを取材する約6000人のプロのジャーナリストのネットワークの創設と数千の商業的、文化的、オルタナティブ・メディアのネットワークの創設である。市民社会の演じ手とメディアの間の研修とセミナーについてのその他の提案は同じような運命をたどった。 
 
  外から見れば、ナイロビの集会はひとつの段階に幕を閉じた。そこではWSFは多様性と、「南」のどの分野でも大衆を動員し、組織する能力を見せ付けることに成功した。 
 
 2009年の次回フォーラムの開催場所を決めず、2008年を世界各地での抗議行動の年としたのは、あらたな世界フォーラムのイメージをつくり上げる作業を事実上、先送りした。人類に影響を及ぼす重要で、危険な問題に対応する真剣で現実的な対案を生みだし、フォーラムを当初からフォローしてきた数百万人の間で大きな期待を生み出すようなそうしたイメージである。 
 
  今後数ヶ月、数年の間に地域フォーラムが予定されているのにもかかわらず、そのように長い期間、フォーラムの活動がなくなるかもしれないことは、この傾向を悪化させることになりかねず、その結果、フォーラムとその「もうひとつの世界は可能だ」という挑戦的なモットーに賭けている人々の多くにさらなる幻滅を生じさせるかもしれない。 
 
*マリオ・ルベトキン IPS通信社長 


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