2007年02月19日03時59分掲載
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ムバラク政権がムスリム同胞団への締め付け強化
【カイロ18日=吉田智賀子】エジプトのムバラク政権が最近、穏健派イスラム原理主義組織、ムスリム同胞団への圧力を強化している。同胞団は2005年12月にかけて行なわれた人民議会選挙で大きく躍進したが、ムバラク政権は元来左派的傾向を持つ同胞団に警戒の念を強め、同団幹部ら所有するいくつかの会社の資産を凍結するなど、資金面からの組織の弱体化を目指している。
ムスリム同胞団は要人暗殺計画などを企てたため1954年に非合法化されたが、70年代に入って穏健化した。その後もエジプト政府の同胞団への弾圧は続いたが、2005年12月にかけて実施された人民議会選挙(定数454)で88議席を獲得して躍進。事実上、エジプト国内最大の野党となり、ムバラク政権を驚かせた。
その後、ブッシュ米政権が対イラク戦争の泥沼化で、中東の民主化拡大路線に疑問符がついたことを奇貨として、ムバラク政権は、政治の表舞台に出ている同胞団の締め付けに乗り出している。
地元メディアは最近も78人のムスリム同胞団メンバーが逮捕されたと伝えた。これまでの逮捕者は百人を超えているとみられる。同胞団への摘発の強化は、昨年12月に昨年12月にカイロにあるイスラム教学の最高学府アズハル大学内で、軍服姿の学生らが、大学内での政治活動の制限に抗議して、構内を行進したことがきっかけだ。
エジプト政府は同胞団が軍事民兵組織を作っている動きとして警戒、同胞団のメンバーらを、テロリスト疑惑、マネーローンダリング(資金洗浄)、非合法団体への加担などの容疑で拘束している。
同胞団に対しては、政府は非合法政党としての地位を解除していない。同胞団の政治参加は、この非合法資格を政府が事実上黙認しているのに過ぎない。同胞団を批判する層は、同胞団とイランとの関係などに警戒感を強めている。
これに対し、ムスリム同胞団最高指導者代理モハメド・ハビブ氏は各メディアに「4月に開催される諮問評議会選挙に向けて、エジプト政府は本格的な(同団の)政治制圧体制に入った」と訴えた。
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