2007年02月20日03時05分掲載
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「異文化間の共存は可能」とする人が6割占める 英BBCの世界世論調査
英BBCがこのほど行なった世界27カ国を対象にした世論調査によると、西欧文化とイスラム文化との共存は可能だと考えている人が約6割近くに達していることがわかった。同時に異文化の衝突は、政治的な動機に起因しているもので、“文明の衝突”は回避できるとする人も過半数以上に上っていた。(吉田智賀子)
調査では、各国ごとにそれぞれ1000人の計2万7000人を対象にした。56%が異文化・宗教間の共存は可能と答え、文化間の衝突は不可避とする人の28%を上回った。さらに現存している衝突の原因について質問したところ、52%が政治的な動機によるものと答え、また58%がマイノリティー(少数派)が衝突を煽っているとみていた。
各国ごとの調査データも公表されている。欧州諸国の多くはイスラム系移民を迎え入れているが、フランス、英国など多くの国で、イスラム系住民との緊張関係が目立っている。しかし、「西洋文化とイスラム文化は共存可能か」との問いに対し、フランスでは「共存可能」と答えた人が69%に達し、「暴力的衝突は不可避」と答えた人は23%に過ぎなかった。
ロンドンの爆破テロなどに見舞われた英国では、「共存可能」は77%に達していた。対イラク戦争を継続中の米国では64%だった。中東地域では、キリスト教徒とイスラム教徒が共存するモザイク国家レバノンの場合では、「共存可能」は68%に達している。
これに対し、トルコ系住民の流入問題などを抱えているドイツは、「共存可能」は49%で過半数を割り、「暴力的衝突は不可避」は39%だった。このほか「共存可能」は、インドで35%、インドネシアで40%。世界最大のイスラム教徒数を有するインドネシアの場合、「暴力的衝突は不可避」が51%に達し、今回の調査対象国で唯一、「共存可能」を上回った。
今回世論調査を担当した調査機関「グローブスキャン」では、「多くの人は、宗教や文化の違いではなく、政治権力の争いこそが紛争の種であると考えている」と指摘。世界は、“文明の衝突”の方向へは必ずしも向かってはいないと述べている。
「グローブスキャン」は、キリスト教徒とイスラム教徒間の紛争が耐えないアフリカ西部ギニア湾に面するナイジェリアについては、宗教の二極化を今度も注意深く見守る必要があるとする一方、レバノンでの結果は同じ異宗教徒が混在する社会における朗報だとした。
国別の主な調査結果は以下の通り。
「西洋文化とイスラム文化は共存可能か」
(1)共存可能(2)暴力的衝突は不可避
フランス (1)69%(2)23%
ドイツ (1)49%(2)39%
英国 (1)77%(2)15%
インド (1)35%(2)24%
インドネシア(1)40%(2)51%
イタリア (1)78%(2)14%
ケニヤ (1)46%(2)35%
レバノン (1)68%(2)26%
ナイジェリア(1)53%(2)37%
ロシア (1)49%(2)23%
トルコ (1)49%(2)29%
米国 (1)64%(2)31%
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