2007年02月26日08時57分掲載
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エジプト人ブロガーに有罪判決 言論の自由の抑圧と批判の声
【カイロ26日=吉田智賀子】インターネット上に発表した文章で、イスラム教やエジプトのムバラク大統領を批判したとして拘束されていたブロガーのアブダル・カリーム・ナビール・ソリマンさん(22)がこのほど、エジプト北部アレキサンドリア裁判所により禁固4年の判決を受けた。ブロガーが罪に問われたのは今回が初めて。
近年エジプト国内ではブログを通し民主改革運動を求める声や、政権批判が強まっていた。今回の判決については言論の自由に対する抑圧として批判の声が上がっている。
ナビールさんはイスラム教徒で、カイロにあるイスラム教スンニ派最高権威アズハル大学に所属する学生だった。昨年11月から拘束されていた。裁判所は今月22日、ナビールさんが自分のブログ上で「カリーム・アマル」の名前で発表していた内容が、イスラム教やムバラク大統領を侮辱したとして有罪とした。
量刑の内訳は、イスラム教を屈辱し社会に混乱を招いたとして3年、ムバラク大統領を侮辱したとして1年と算定されている。
ナビールさんは2005年10月26日、自分のブログに投稿していた文章がイスラム教への背信行為に当たるとし、エジプト国家保安情報局(SSI)により逮捕され、13日間拘束された。その後2006年11月6日には、アズハル大学から、ナビールさんがイスラム教やムバラク大統領を侮辱しているとの告発を受け、逮捕された。
大学側は、ナビールさんがブログ上で「(同大学の)教授らは自由な思想を持つ学生を劣等生扱いしている。彼らはゴミ箱の中で自らの歴史に幕を閉じるだろう」と述べていたと指摘し、ナビールさんを除籍処分にした。
ナビールさんは「言論の自由の下で、自分の意見を述べたのにすぎない」と法廷で述べた。これに対し、検察側は「彼には最も厳しい判決が下るべきだ。彼のような背教者を社会に野放しにすることはできない」と語った。
地元メディアによると、現在エジプト国内では約6000件に上るブログが存在する。政治や人権に関するブログの数は限られているものの、近年では民主化への呼びかけやデモ参加への誘いなどを行なっている。
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