2007年02月28日16時17分掲載  無料記事
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女教師が加害少年に必死の説得 殺害直前の緊迫状況を録音 全テープ公開へ

 11年前に殺された被害者が、殺される直前に密かに録音していたテープの全容がこのほど、米ニュージャージー州のオーシャン郡裁判所で文書の形で公開された。犯人は当時17歳の少年、被害者は45歳の中学校の女教師だった。テープの中で、女教師は少年に対し、犯罪を思いとどまるよう必死の説得をしていた。この事件では、10年前に少年はいったん30年以上の禁固刑が宣告されたが、少年の弁護士が母親と関係を持ったという致命的な不祥事が発覚し、裁判やり直しの異例の事態になっている。(ベリタ通信=江田信一郎) 
 
 米メディアによると、被告は、現在27歳のマイケル・ラセーン。被害者はキャスリーン・ワインスタインさん。事件が起きたのは1996年3月14日。ラセーンは、車欲しさから、当時トヨタの人気車種カムリの新車に乗っていたワインスタインさんを同州トムズリバーのレストラン前から誘拐し、殺害した。ラセーンは、前日に17歳の誕生日を迎えたばかりで、自分の誕生日祝いのつもりで車を盗もうとしたという。 
 
 死体は3日後に森の中で発見された。死因は窒息死だった。警察はワインスタインさんが着ていたコートのポケットの中から、小型テープレコーダーを発見した。再生したところ、ワインスタインさんが、犯人との最後の会話を録音しているのがわかった。この中でワインスタインさんは少年に「マイケル」と呼びかけていた。 
 
 盗まれた車は、ラセーンが母親と住むアパートの近くで発見された。ラセーンは当初、車は知り合いから中古で買ったものだと説明していた。 
 
▼弁護士の不祥事で再審理 
 
 ラセーンは、テープの声は自分ではないと主張していたが、1997年に司法取引で有罪を求め、本裁判に入らないまま禁固30年以上の刑が確定し、服役した。 
 
 しかし、当時のラセーンの弁護士が、係争中にラセーンの母親と一度性交渉を持ったことがその後発覚。息子が司法取引に応じるよう弁護士から迫られたなどと母親が話したため、2004年に裁判のやり直しが決まった。 
 
 
▼無罪主張で全テープ公開 
 
 ラセーンはやり直し裁判を控え、一転無罪を主張したため、本格的な裁判が2月21日から始まった。同日、郡裁判所は、これまで一部しか公表されていなかった録音テープの全部を証拠として採用することを決めた。テープの公開をめぐっては、遺族が強く反対していた。 
 
 会話は車中で行なわれたもので、長さは46分間。この中でワインスタインさんは、自分は教師だと説明し、6歳の娘がいるとも話している。時には少年に就職口の斡旋の話もしている。 
 
 このほか「わたしは誰にも言わない。なぜならあなたは車を盗まないし、わたしを傷つけもしないだろう」「(犯罪を犯せば)一生刑務所で過ごすことになる」どと話した。時折すすり泣く声も録音されていた。 
 
 テープは少年の母親が住むところまで一緒に行って話そうと、ワインスタインさんが提案しているところで途切れている。 


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