2007年03月16日15時10分掲載
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娘を道連れに小型機墜落させ死亡 突っ込んだ場所は祖母の家
米インディアナ州ベッドフォード市のローカル飛行場から一機のセスナ機が飛び立った。パイロットは47歳の練習生のパイロット。コックピットには彼の8歳の一人娘が乗っていた。練習生は人を同乗させて飛ぶのは禁止されているが、父親はなぜ娘を乗せて大空に向かったのか。離陸してから一時間半後に、セスナ機は墜落し二人は死亡した。一見事故のように見えたが、間もなく、自殺にために娘を道連れにした疑いが強まった。これだけでも悲劇的な事件だが、彼がもう一つの目的を持っていた疑いも浮上した。(ベリタ通信=江口惇)
米メディアによると、3月5日午前10時35分ごろ、飛行場に近い民家にセスナ機が激突した。乗っていたエリック・ジョンソンさん(47)と、長女エミリーちゃんの二人は、墜落による衝撃で死亡した。民家は、白のペンキ塗りの平屋建てで、家の左側部分に機体が突っ込んでいた。エンジンの燃料に火がつけば、大きな火事になるところだったが、幸い火災は発生しなかった。
間もなく、驚くべきことが明らかになった。民家の持ち主は、ジョンソンさん親子とは赤の他人ではなかったからだ。民家には、エミリーちゃんの祖母ビビアン・ピースさんが住んでいた。ジョンソンさんにとっては、ピースさんは義理の母親にあたる。
次第にジョンソンさんが娘を道連れに自殺を決行した疑いが強くなった。さらにジョンソンさんが、セスナ機をピースさん宅に意図的に突っ込むという、もう一つの目的を持っていた疑いも浮上した。
なぜ娘との無理心中だけでは飽き足らず、祖母を巻き込んでまで死のうとしたのか。その理由は、ジョンソンさんと妻ベスさんとのこじれた関係だった。
二人は12年間連れ添った後、2006年11月に離婚している。一人娘のエミリーちゃんは、双方が親権を持つことで合意した。ジョンソンさんは離婚には反対しており、離婚を思いとどまるよう銃を使ってベスさんに脅しをかけたこともあるという。
事故当日の前まで、ジョンソンさんは娘を預かり、小旅行に出かけていた。5日は月曜日で、エミリーちゃんは朝から小学校に登校する予定だった。母親のベスさんは朝、娘が登校しているか確認の電話を学校に入れたが、来ていないと返事だった。
驚いたベスさんは、前夫のジョンソンさんに何度か電話した。ようやく電話に出たジョンソンさんは「エミリーを預かった。エミリーに会えることはもないだろう」と話し、何かを予告させる口ぶりだった。電話越しにエミリーちゃんが「マミー。迎えに来て」とせがむ声が聞こえたという。
ベスさんは、既にセスナ機が墜落しているとも知らずに、午前11時半ごろに警察に「娘が誘拐された」と届け出た。間もなく悲報が伝わった。
祖母のピースさんは、「彼は、わたしがここに住んでいるのを知っていた。彼は意図的にやってきた」と語った。
ジョンソンさんは、インディアナ州で森林保護隊員の仕事をしており、勤続20年というベテラン。飛行機の練習生用のライセンスは、離婚の時期と重なる06年11月に取得している。職場の同僚たちは、ジョンソンさんの行動に大きなショックを受けている。
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