2007年03月31日02時08分掲載  無料記事
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「同情はいらない」とエドワーズ大統領候補 妻のがん告白で波紋

 2008年の米大統領選挙の民主党指名候補として名乗りを上げているジョン・エドワーズ元上院議員(53)の妻エリザベスさん(57)が最近、がんが再発したことを告白した。妻の看護に当たるために夫としてエドワーズ氏は、選挙戦から脱落すべきなのか。しかし、二人が出した結論は、選挙戦を続行することだった。この決定については、米市民の間でも様々な反響を呼んでいる。妻への愛情を優先すべきか、それとも大統領になるという男の夢を追い求めるべきか。波紋を広げている。(ベリタ通信=江田信一郎) 
 
 両夫妻は3月22日、エドワーズ元議員の地盤であるノースカロライナ州チャペルヒルで記者会見を開き、エリザベスさんのがん再発を公表した。元議員は、過去に二人で難局を切り抜けてきたように、二人でがんに立ち向かう決意を表明。今後、妻の看護で時間が取られることがあるかもしれないが、大統領選を継続すると述べた。 
 
 エリザベスさんの乳がんが発見されたのは、2004年に行なわれた米大統領選挙でケリー・エドワーズの正副大統領候補が、共和党のブッシュ大統領に敗北を喫した直後。以後、放射線治療や化学療法を受けてきた。今回、がんが骨に転移していることがわかった。かなり進行した段階だという。 
 
 エドワーズ夫妻は1996年4月に、当時16歳だった息子を交通事故で失い、大きなショックを受けた。夫妻は再び子どもを作ることを決意し、エリザベスさんは40歳台の後半だったが、二人の子どもを生んだ。エドワーズ元議員が難局として表現したのは、こうした経緯も含んでいるとみられる。 
 
 実際は、エドワーズ元議員は、大統領選からの脱落を検討したとされるが、妻が強く反対したといわれる。夫妻が記者会見を開いた後、多くの激励の電子メールが届けられた。 
 米紙ニューヨーク・タイムズは、元議員に決定に対する市民の声を紹介しながら、生命の限界や結婚の意味、野望、貢献などを考える機会を人々に与えたと述べた。 
 
 ある65歳の女性は5年前、乳がんを宣告されたとき、ボスニア・ヘルツェゴビナでボランティア活動をしていた。家族から帰国を誘われたが拒否し、とどまった。がんが末期であろうとなかろうと、最後まで有意義な生き方をするこのと重要性を指摘している。二人の決定については、人が口を挟むことではないと述べた。 
 
 エドワーズ夫妻は25日に放映されたCBSの報道番組「60ミニッツ」に出演し、著名女性キャスターのケティー・クーリックさんのインタビューを受けた。一部に、元議員が今回の妻のがん再発を政治利用しようとしているとの批判があるが、と問われたエドワーズ元議員は、「妻ががんだからと言って、私に投票する人はいないと思う」と述べ、同情や哀れみから投票するのは誤りだと指摘した。 
 
 しかし、夫妻の決定が大きく報道されたことで、エドワーズ元議員への支持がやや上昇している。最近発表されたUSAトゥデー・ギャラップ社の合同世論調査では、58%の人が、エドワーズ元議員の大統領選の継続決定を支持している。しかし、38%の人が、妻の看護のために最終的に大統領選の指名レースから脱落すると予想している。 
 
 民主党の各候補の支持率では、エドワード元議員は4位になっている。トップはヒラリー上院議員、次いでオバマ上院議員、3位が、出馬を表明していないが、環境問題で名を上げたゴア元副大統領。エドワード元議員の支持率は19%だったが、3週間前の9%からは上昇している。 


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