2007年03月31日02時11分掲載
無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200703310211126
米国で未成年者の飲酒が深刻に 人身事故も多発
米国の未成年者が飲酒にふける危険性が指摘されている。若くしてのみ始めるほど、成人してから飲酒上の問題を抱える確率も増すという。米政府でも未成年者の飲酒に寛容な社会に対して、警鐘を鳴らしている。この間にも、酒に酔った若者が車を運転し、人身事故を起こすケースが多発している。(ベリタ通信=江田信一郎)
ケネス・モリツグ米医務総監代理は3月初めに、米国で未成年者の飲酒問題が深刻化していることを指摘した。2005年の全米統計では、未成年の飲酒者は1100万人に達している。医務総監代理は、未成年者の飲酒は、脳にダメージをもたらすと警告している。
未成年者の飲酒が問題になっているのは、保護者や社会が、未成年者の飲酒に対して寛容なためだとされるが、医務総監代理は、飲酒は大人になるための通過儀礼を考える文化を変えなければならないと述べている。
米コロラド州レークウッド市では3月13日夜、16歳の女子高生が運転したSUVが、対向線を越え、乗用車に衝突する事故が起きた。乗用車は左側前部が大破し、乗っていた女子高生サマラ・ストリッケンさん(17)が死亡した。運転していた男友達(20)も大けがをした。
米紙デンバー・ポストなどによると、SUVにはハイティーンらの男女3人が同乗していた。地元警察の話では、SUVを運転していた女子高生は、飲酒をしていた可能性が大きいという。
この女子高生が通う高校では、今回の事故に大きな衝撃を受けている。バーブ・ゴーイング校長は、生徒の間で飲酒が広がっていることに憂慮の念を表明した。
コロラド州では2005年に「ティーンの運転に関する法」を制定し、運転免許を取得したハイティーンが1年間、同じ年齢層の若者を車に同乗させて運転するのを禁じた。若者だけが車に乗ると、カーステレオをがんがんならしたり、携帯電話や同乗者とのおしゃべりに夢中になり、事故が起きる確率が高くなるという。法律はこの懸念から制定された。
しかし、衝突事故を起こした16歳の女子高生は、1週間前に免許証を取得したばかりだった。同じ世代を乗せて運転することは禁じられていたのにもかかわらず、3人を同乗させていた。
ゴーイング校長は、未成年者の飲酒は地域社会全体の問題だと述べるとともに、誰が生徒たちに酒を与えたのかと、怒りをあらわにした。
米イリノイ州でも、未成年者の飲酒が問題になっている。最新の調査では、高校4年生(米国は高校4年制)の半数以上が、アルコールを経験している。このうち35%が飲酒を繰り返している。米国では、カクテルような色をし、味もマイルドな「アルコポップ」と呼ばれる飲み物が若者の間ではやっている。若者の間では、アルコール度数が低いと勘違いしてのんでいるものも多いという。実際はビール並みのアルコール度数になっている。
Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。