2007年03月31日02時12分掲載  無料記事
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米ニュージャージー州の高校が「ロックダウン」 緊急事態受け

 高校の駐車場には、積もった雪がまだ少し残っているのが見えた。取材ヘリが上空を舞い、「ロックダウン」された校舎の姿を映し出した。3月19日午前、米ニュージャージー州の高校で、高校生同士がけんかをしたことがきっかけで、一人の生徒の持ち物から、麻薬に類した物などが見つかったため、学校側が、緊急時の対策マニュアルの一つである「ロックダウン」(封鎖)を実施、時ならぬ騒ぎになった。(ベリタ通信=江口惇) 
 
 米紙バーリング・カウンティ・タイムズなどによると、19日午前、同州のモーレストン高校で、男子の高校生同士が殴り合いのけんかをした。一人は16歳の高校2年生で、もう一人は17歳の3年生。このため二人は校長室に呼ばれた。 
 
 その際、16歳の高校生の持ち物であるバッグパックを調べたところ、麻薬に類した物のほかに、麻薬取引に関係したとみられる顧客名や、武器類のリストを発見した。学校側は、警察に通報し、構内は「ロックダウン」状態になった。 
 
 学校の通報を受け、駆けつけた警官は16歳の少年を逮捕するともに、構内のロッカーなどに危険な武器などが隠されていないかをチェックした。幸い、武器や麻薬も見つからなかったが、この間2時間にわたり、構内は「ロックダウン」となった。 
 
 二人の高校生は停学処分になった。16歳の高校生は同日中に、親の元に引き取られたが、「テロの脅威を与えた」として告発される可能性があるという。 
 
 「ロックダウン」とは、通常、学校内に銃を持った者らが乱入した際に、生徒や児童の安全を守るために実施される緊急措置。校庭やホールにいる生徒らを教室や安全な場所に誘導し、教室のドアには鍵をかけ窓は、生徒たちをドアや窓から離れた場所に集めて身を潜めさせる。 
 
 なぜこうした措置を取るかというと、犯罪者は、これまでの統計では、教室に鍵がかかっていると、無理して入らず立ち去る傾向があるからだ。また窓越しに人がいるのを目撃されると、襲撃されやすくなるため、窓から離れることが必要だ。 
 
 「ロックダウン」は刑務所内で暴動が起きたときに、暴動の拡大を防ぐために、受刑者を囚人房に閉じ込める場合に元々使われている。米国の学校では、1999年4月にコロラド州で起きたコロンバイン高校銃乱射事件で、生徒がホールなどで無差別に殺害されたのを教訓に、各地で「ロックダウン」の訓練が盛んに行なわれている。 
 
 インディアナ州でも最近、学校の付近で銀行強盗が発生し、生徒の安全を守るために「ロックダウン」の措置が取られた。またウィスコンシン州の高校では、3月初めに、生徒が銃を持って学校に来ているとの通報が他の生徒からあり、警察に拘束された。この間同様に「ロックダウン」となった。米国では、銃を規制する動きが主流になっておらず、「ロックダウン」の訓練の必要性が高まっている。 


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