2007年03月31日02時16分掲載
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校内で女子高生がペッパースプレーまく 生徒逃げ惑いパニックに
米フロリダ州ブロワード郡にある公立高校で最近、女子生徒同士のけんかが発端で、警察が出動する騒ぎになった。同校は、“荒れる高校”だったが、ことしから学校改革の動きが進んでいた。しかし、その改革の先頭に立っていた校長が突然、病気で辞任を申し出たため、求心力を失い、再び問題が生じ始めた。学校当局は、病気で辞任する校長に代わって、二人のベテラン校長経験者を共同で就任させ、事態収拾に乗り出すことになった。(ベリタ通信=江口惇)
3月22日昼過ぎ、同郡ローダーレークにあるボイド・アンダーソン高校のカフェテリア(食堂)で、女子生徒2人が口論となった。男子学生をめぐるトラブルのようだった。そのうちに、16歳の生徒が、ペッパースプレーを相手にまいた。当時は、昼食時とあって、カフェテリアは生徒たちであふれていた。
米紙サンセンティネルなどによると、スプレーが拡散し始めるにつれ、周りにいた生徒たちが驚き、大騒ぎになった。テーブルの上に登って逃げようとするものも現れるなど、パニック状態になった。警察や救急車が呼ばれ、カフェテリアで働いていた大人2人と生徒13人の計15人が病院に運ばれた。うち4人が目の痛みや呼吸困難など重い症状を訴えた。
15歳の姪がこの高校に通っているアシア・ウィルソンさん(28)は、子どもの安全をもっと守るようにと学校側に注文をつける。「子どもがナイフを簡単に持ち込めたらどうなるのか。誰か子どもが死ぬことも起きる」と不安を訴える。
今回の騒ぎで逮捕者は出ていないが、騒ぎを引き起こした7人の女子生徒が停学処分を受ける見通しだ。ペッパースプレーはナイフなどと同様に学内への持ち込みは許されていない。しかし、スプレー自体が小さいため、学校側も見抜けなかった。
ボイド・アンダーソン高校は生徒数2460人で、89%が黒人。このためアフリカ系米国人やハイチ、ジャマイカ出身者らの間で文化的な摩擦を生み、緊張した状態になっていた。
同校では、これまで最上級生の退学率は5割に達し、フロリダ州の学力評価試験でも4割が標準以下。ブロワード郡の学校群の中でも犯罪率は最高にランクされ、教職員の離職率も毎年4割に達していた。こうした現状を地域社会と学校が協力して改善しようと、ことし就任したケビン・ソーヤー校長(53)の下で、生徒の学業改善、犯罪率の低下、施設の改善など5項目を柱にした改善計画が実施されていた。
ところが、生徒から信頼を集めていたソーヤー校長が、就任して数カ月後に、健康上の理由から辞任を発表。動揺した生徒たち200人が3月14日午前、数学とサイエンスの授業をボイコットして、体育館に集まり、校長の復帰を要請する騒ぎがあった。
学校側では、相次ぐトラブルを受け、学内改革が水泡に帰すのを恐れて対応を協議。その結果、60歳と62歳のベテラン校長経験者をソーヤー校長に代わって共同で就任させ、学内改善を進めることになった。
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