2007年04月02日10時30分掲載
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暑さ本番を前に早くもプール事故相次ぐ 米カリフォルニア州
西海岸のカリフォルニア州南部などでは、中庭にプールを持っている家庭も多い。これから夏にかけて気温が上昇する前に、プール事故を未然に防止する情報を伝える新聞記事が出始めている。プールの利用で心配なのは、子どもたちがプールに転落したりして事故死することだ。訴訟社会の米国では、近所の子どもたちがプールに遊びに来て事故の遭ったりすると、家族から損害賠償を請求されることは日常的だ。従ってプールの安全管理を怠ると、あとあと大変な負担を強いられる可能性もある。(ベリタ通信=江田信一郎)
プールの管理には経費がかかる。未使用のまま管理を怠ると、枯葉が表面を覆いつくしたり、濁りが生じたり、後で清掃しようとすれば、逆に経費ががかかる。カリフォルニア州南部に住む72歳の女性は、毎週清掃を依頼している。薬品を投与して濁りを取ることも重要だ。米国では、近所のいたずらっ子が、人の中庭に侵入してプール遊びに興じていても、事故が起きれば、持ち主が賠償を求められることがあるので、管理は極めて重要だ。
米紙ロサンゼルス・タイムズは最近、プールの完全管理をめぐり、危険を回避するための情報記事を提供した。3月はまだ、暑い日と気温が急に下がる日が交互に現れるが、初夏にかけて気温は上昇し、水が恋しくなる季節を迎える。
夏本場を前に、同紙が記事を掲載したのは、既にプール事故が相次いで報告されているからだ。ロサンゼルス郊外のオレンジ郡ガーデングローブでは最近、1歳半の幼女と2歳半の男の子がプールで溺死しているのが見つかった。二人はいとこ同士で、それぞれの母親が、15分間程度目を離した隙に、濁った中庭のプールに転落したらしい。
これは子どもではないが、リバーサイド郡ペリス市で、パーティーに訪れたペドロ・チャベスさん(22)が行方不明になったが、一週間後にプールの中で死亡しているのが見つかった。
同州では2002年6月に、誕生日パーティーに出席した7歳の少年が行方不明になったことがある。家族が子どもを迎えに来て、姿が見えないために騒ぎになった。誘拐の疑いも持たれたが、2日後に濁ったプールで遺体で発見された。警察はプールの捜索を見落としていた。
同州ではことし1月に、プールの完全管理に関して新たに作るプールや、改修工事を行なうプールについては、安全基準を強化した。新基準では、子どもがプルに転落した場合に、警報が鳴るシステムを設置することなどを義務付けている。
米連邦疾病防止予防センターによると、米国の溺死者数は減少傾向にあるものの、1歳から14歳の子どもたちの間では、依然死因の上位にある。
カリフォルニア州の隣のアリゾナ州でも、幼児のプールへの転落事故が報道されている。自宅にプールを持つことに憧れる人も多いが、プールは常に事故を起こさないような警戒が必要だ。専門家の話では、小さい子どもはプールに落ちると、30秒で意識を失う。4分から6分後には酸素が脳に送られないため、脳がダメージを受け、10分後には脳死状態になるという。
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