2007年04月02日16時47分掲載
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橋本勝21世紀風刺画日記
第41回:歴史から 真実消して 美しい国
太平洋戦争の中で最も悲惨なものの1つが沖縄戦。軍隊が無理やり自国の住民を巻き込んだこの戦いを象徴する悲劇が集団自決である。この史実に対して今回の教科書検定は、高校の日本史教科書から「日本軍が自決を強いた」という趣旨の記述の修正を求めたのである。
戦争の歴史でもあった日本の現代史から、なるべく醜いところを消していきたいというのが文科省の狙いであり、政府の意向でもあろう。
今回は高校生が対象であるが、近い将来、兵士になってもらう子供たちには、日本の軍隊に良い印象をもってもらいたい。そのためにも、戦場で残虐非道なことをしたり(南京大虐殺ほか)、性欲を発散させるために他国の女性を使ったり(従軍慰安婦ほか)、軍隊は国民を守ったりしない(集団自決の強要ほか)などという問題は隠したい、もしくは表現をあいまいにしたいのである。
日本軍の兵士は勇ましいだけでなく、清く正しいというイメージを教育の場で子供たちにうえつけていきたい。それでこそ安倍政権の信念である「戦争できる美しい国」実現の可能性も、出てくるというわけであろう。(橋本勝)
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