2007年04月07日15時20分掲載  無料記事
http://www.nikkanberita.com/print.cgi?id=200704071520426

根津教諭の「君が代」拒否

<停職6ヶ月「出勤」日記・2>私の排斥に同調する生徒も、行動を評価する生徒も

4月6日(金) 
 今日は始業式、7時40分、鶴川二中の校門前に「出勤」した。友人が同行。暖かい、いい天気。 
 
 「進級おめでとうございます。/『君が代』不起立で不当にも停職6ヶ月処分です。/『君が代』の歌詞の意味を知っていますか。知って歌っていますか?/今は戦前のようです。」(趣旨)と書いたプラカードを立てかけて、登校する生徒や出勤する、数日前まで同僚だった人たちに挨拶をした。元気に挨拶を返してくれると、心が弾む。 
 
 生徒の登校中ずっと、忙しいだろうに、副校長が昨年と同じように私の横に立った。「1年間付き合ってきて、私が静かな人間だということも、生徒に何か心配なことをしないということもよくわかったでしょう?ここに立って、監視する必要なんかないですよ」と告げると、副校長は同意する表情や言葉を出した。個人的にはいい人なのだ(いや、だからこそ怖い社会だと思う)。それでも、始業時刻まで立っていた。彼はこれを、「職務」と思わされているのだろう。 
 
 この鶴川の地域では1年前の着任早々、私について「ルールを守らない教員」「引き取り手がなかったこの教員を校長先生が預かってやったそうだ」等々のことばが流されていたと聞いていた。また、10・23通達以降の、戦争に突き進む世の変化、人々の意識の変化はすさまじい早さだ。そうした影響を受け、私を排斥する声は、「正義」の声となり、生徒たちの間にもたちまちのうちに浸透した。生徒からのバッシングはとてもきつかった。しかし、70年前を再現させる状況に、めげてはいられず、気持ちを整理し、ことに当たってきた。 
 
 3月、この学校では今流行りの、生徒からの「評価」があるのだが、そこにこんな風に書いてくれた生徒もいた。「先生がこの学校に来てくれて、私はいやなことはいやだと言っていいことが分かった」「先生は意志が強いですね。すごいと思う」「新聞で読みました。がんばってください」など。とりわけ、「いやなことはいやだと言っていいことが分かった」という、たった一人かもしれないけれど、私の行動から学んでくれたその生徒の言葉に、私がこの学校にいた意味があったと思えた。うれしかった。それを支えに、私はまた、先に歩むことができる。そんな風な気持ちで、今日ここに立った。 
 
 登校が終わり、ボーッとしていたところに、「またですか」「またですか」と敵意むき出しの表情で私をにらみつけ、吐き出すように言って通り過ぎ、学校に入っていったPTA関係者。それからしばらくして、表情やしぐさから(公安警察?)と直感させる男性が、プラカードと私に目をやり、通り過ぎて行った。それに続いて、その数分前から100mほど離れたところに止まっていた濃紺の車が、私の前をゆっくり通り過ぎたところで、その男性を乗せて走り去った。公安警察間違いなし!と確信するような風景だった。友人はその前に、停車を続けていたこの車から降りたこの人が、学校に入っていったのを目撃していたと言う。ますます、確信した。時計を見ると、8時50分だった。 
 
 また一方、忙しい時間をぬって4人の地域の方が訪ねてくださった。お二人は、初対面の方。昨年ここで知り合った○○さんから電話を受けていらしたのだった。 
 
 同じ鶴川地区のある小学校では、先日の卒業式で「君が代」の際、卒業生の保護者の2/3が着席されたそうだ。何があったのかは分からないが、すごいことだ。そんな話しに盛り上がった。学校の前にお住まいの、いつも挨拶を交わす方たちとも、楽しく話しをした。 
 
 今日生徒は、午前で下校。始業・着任式で校長から話があったのだろう。「もう、いなくなっちゃうの?」「先生、新しい学校に行っても、僕のこと覚えていてね」と声をかけてくれる生徒もいた。「半年間はまだ、時々ここに来るからよろしく」と変な会話を交わした。 
 
 かつての生徒の一人□□さんからのメールが、校門前「出勤」に勇気を与えてくれます。 
 「去年 先生にお会いしたとき、実際生徒が先生の姿を見て、問題の存在を認知できることはすごく大切なことだと思いました。その時すぐに問題を理解して行動に移すのは、おそらくほとんどの生徒には無理です。私も無理でした。でも 日本国内には同じような問題がまだまだ沢山あって、先生が異動した分だけ(先生には大変ですが)それらの問題を疑問視できる将来の社会人が増えるのではないかなと思うのです。(中略)私自身も、最近「愛国心」と「祖国愛」をわけて考えるようになりましたが、それは石川中での平和教育だけでなくて、今の先生の活動を知ってるからだと思います。(後略)」 
 有難いことです。 


Copyright (C) Berita unless otherwise noted.
  • 日刊ベリタに掲載された記事を転載される場合は、有料・無料を問わず、編集部にご連絡ください。ただし、見出しとリード文につきましてはその限りでありません。
  • 印刷媒体向けの記事配信も行っておりますので、記事を利用したい場合は事務局までご連絡下さい。