2007年04月13日04時02分掲載
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プリンセス・マサコ
豪州での筆者の講演をめぐり日本側が圧力と著者 不可解さが依然続く「プリンセス・マサコ」騒動
ベン・ヒルズ氏による著書「プリンセス・マサコ」に関する報道を私が始めてから9カ月が立つ。私が「プリンセス・マサコ」に関する第1報を日刊ベリタに出した翌日の7月12日には、日本メディアからの問い合わせが多数来ているとの連絡がヒルズ氏から入った。その後一連の出版中止騒動などについて関係者に取材を申し込んだが、ヒルズ氏と対立する講談社などの見解が常にヒルズ氏と正反対であり、誰が正しいのかの判断をすることはできなかった。3月28日にアデレードで行われたベン・ヒルズ氏による講演では、ヒルズ氏は在メルボルン日本国総領事館が講演を中止にするよう圧力をかけたと言い、日本側はこれを全面否定した。また講演を主催した日豪友好協会は「ジャーナリストに話すことは何もない」と発言。本書を巡る不可解さは依然続いている。(アデレード=木村哲郎ティーグ)
講演は3月28日に行われ、35人ほどの出席者があったという。ヒルズ氏によると同氏は、一連の日本版発売中止の経緯について語ったという。またヒルズ氏は、アデレードを管轄する在メルボルン日本国総領事館が講演を主催した日豪友好協会(Japan
Australia Friendship Association)に圧力をかけ、ヒルズ氏のトークを中止するように要請したという。
ヒルズ氏が圧力をかけたと主張する日豪友好協会のマイケル・ダンフィー氏は日刊ベリタの電話取材に対し、電話を総領事館側から受けたことを認めながらも「ジャーナリストに話すことは何もない」と発言。電話の内容及び電話が誰からのものであるのかについては一切の明言を避けた。
在メルボルン日本国総領事館側は、加来至誠(かく・しせい)総領事が取材に応じ、加来総領事が3月23日昼に「個人的な電話」を「友人」であるダンフィー氏に総領事館からかけたことを認めた。その際加来総領事は、「プリンセス・マサコ」には事実関係の間違いがあり、皇族に無礼な点がある「個人的な意見」を伝えたという。
加来総領事によると、言論の自由は基本的な人権でありヒルズ氏からそれを奪うつもりはなく、講演の中止を求める意図は全くなかったという。また日本政府としてヒルズ氏に講演の中止を求める姿勢も全面否定した。電話代(メルボルンからアデレードまでの長距離電話代)も個人的な電話であったため後で精算し、個人的に支払うという。
この件に関し私は4月5日、講演を聴いたアデレード大学アジア研究センターのプルネンドラ・ジェイン教授との接触。ジェイン教授によると、日豪友好協会のダンフィー代表はヒルズ氏の講演前に在メルボルン日本国総領事館から電話があったことを話しており、自らが「難しい立場にいる」と認めていたという。
またヒルズ氏によると、シドニーで予定されていた講演は在キャンベラ日本大使館からの要請により中止が決まったという。ただ日本大使館の内山浩二郎広報文化班長によると、日本側はこれらの問題に関与していなく、ヒルズ氏の「妄想」だと述べた。
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