2007年05月08日06時07分掲載
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中東
抵抗勢力、米軍撤退後に備え始める イラク人軍事専門家が指摘
最近イラクで起きている主要武装抵抗勢力間の合従連衡の動きは、いずれ起こり得る米軍の撤退に備えて、その後の内乱発生を未然に防ぐ措置だとするイラク人軍事専門家の分析を3日付のクドゥス・プレスが伝えた。(斉藤力二朗)
イラク人軍事専門家のスブヒー・ナーズィム・タウフィーク博士は本紙通信員に3日、「イラクの抵抗勢力は米軍撤退後に備えている。抵抗勢力3大集団が『聖戦と善行戦線』を結成すると発表したことは、イラクから撤退する可能性のある米軍に取って代わる準備の一端を示している。イラクに限らずどこの抵抗勢力でも、新段階へ移行する準備として各派の統合など多くの段階を経るものだ」と語った。
イラク・イスラム軍と聖戦士軍団、アンサール・スンナ軍のイラク抵抗3大勢力は、「聖戦と善行の前線」名で統合すると発表、イラク政府と過去の選挙、さらに「米軍の銃口下」で作成された憲法の承認を断固拒絶している。
同博士は「イラク抵抗勢力は解放区ができたとようやく発表するようなった。これは抵抗勢力が支配し、米占領軍や政府軍は立入出来ない地域を意味するが、私は米軍のイラク撤退後の準備の一環と考えている」と語った。
イラクの抵抗勢力は自分たちがイラク一国ではなく中東や世界で重みを有すと自覚し始めた。そこで相互の和解を呼びかけ始めた。米国もこれらの抵抗勢力の重要性を十分認識しており、ザルマーイ・ハリールザード前米国大使が米軍と交渉している武装勢力があると発表したように、少なくとも一年以上前から抵抗勢力との交渉の扉を開こうとしている。
「米軍が突然撤退すればイラクの武装勢力間の内紛が激化し、そこでの勝利者が統治者になろう。米国が計画的に撤退したとしても、武装勢力間の抗争につながる危険性があると抵抗勢力は認識しているようだ。そこでそのような事態にならぬよう未然に防ごうとしている」と同博士は解説した。
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