2007年05月13日11時51分掲載
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フランスの新党「民主運動」に試練 多くの議員がサルコジ氏の傘下に?
2007年フランス大統領選挙の第1回投票で682万0914票(18.57%)を獲得し3位に就け、善戦した「フランス民主連合」(UDF)のフランソワ・バイル党首が、5月に新党「民主運動(MD)」の結成を発表したが、目前に迫った下院議員選挙では、民主運動の議席確保は予想を下回る可能性があるという。(及川健二)
バイル党首が「民主運動」結成を発表したのは5月4日、同党大会でのことだった。同党の発表によれば、5月10日までに約3万3000人の有権者がインターネット上で入党手続きを済ませたという。
しかし、「民主運動」の行く道は険しい。
バイル氏はUDF所属の29人の下院議員のほぼ全員が新党に加入すると目論んでいたが、日刊「プロヴァンス」紙によれば、5月3日の夜、22人のUDF下院議員が集まって会合を開き、「ニコラ・サルコジ氏が大統領に当選すれば、同氏の下に合流する」ことを確認したとも伝えられている。
22人が現在、サルコジ新大統領の「国民運動連合」(UMP)に合流するか、「民主運動」に参加するか、はかりに掛けているのは間違いない。
もし、UDFに属する現職議員の大半が新党に参加しない場合、「民主運動」は躍進どころか解党の危機に立たされかねない。バイル党首は10日夕方にラジオ局「RTL」の番組に出演し、「新党は新しい政治の潮流になる」「『国民運動連合』に合流しようという圧力には徹底抗戦していく」と強気の姿勢を崩していない。
ただ、有権者806人に下院議員選挙に関する電話調査を7日に行った大手世論調査会社のBVAは、「民主運動」の議席はUDFの現有議席の半分にも満たない8〜13議席にとどまると予測する。
フランスでは577議席をめぐる下院議員選挙が6月10日と17日に行われる。下院の選挙制度は小選挙区制で、第1回投票で過半数に達する候補がいない場合、登録有権者数の12・5%以上を得票した候補者が決選投票へと進出する権利を得る。
大政党に有利な小選挙区制のため、現在の下院では、右派の「国民運動連合」(UMP)と左派の「社会党」(PS)の2大政党が議席の90%以上を占め、UDF議員は29人に過ぎない。バイル氏は2大政党制の打破を掲げて、577ある選挙区にすべて候補者を立てると言明している。
大統領選で吹いた「バイル旋風」に乗って大躍進するのか、それとも2政党制の前に壊滅してしまうのか。「民主運動」は今、大きな正念場を迎えようとしている。
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