2007年05月14日02時15分掲載
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黒人候補を茶化したビデオがネットで流れる 「気にしない」とオバマ氏
【コングレス(米アリゾナ州)13日=マクレーン末子 】08年の米大統領選に向け、民主党のバラク・オバマ上院議員(黒人)が急速にその支持率を伸ばしてきている。最近、そのオバマ議員を茶化した替え歌やビデオ「バラク・ザ・マジック・ニグロ」が、ネット上で流れている。この替え歌は、保守派ラジオデイスクジョッキーのラッシュ・リンボウ氏が、自分の番組用に作成した。ビデオは、リンボウ氏のウェブサイトで紹介されてきたが、現在は米最大の動画サイト「YouTube」でも見ることができる。
リンボウ氏は自分のラジオ番組「ラッシュ・リンボウショー」で、3月半ばから歌を番組内で流し、自分のウェブサイトでビデオを紹介してきた。「ラッシュ・リンボウショー」は、全米645ラジオ局で放送され、保守層に絶大な人気があり、週に2000万の聴取者がいる。
各種報道によると、問題の歌は、60年代に大ヒットしたピーター・ポール&マリーの「パフ・マジック・ドラゴン」の替え歌。政治風刺を手がけるコメデイアン、ポール・シャンクリンが作詞した。
歌詞の内容は、黒人運動活動家アル・シャープトン師が、若い黒人のオバマ氏が新星のように現れ、白人層から人気を得ているのを、ねたんでいるというもので、シャンクリンがシャープトン師をまね、早口で歌っている。
オバマ氏は父親がケニア人、母親が白人のため、苦しい奴隷の歴史を背負った従来の黒人像とは異なるとして、米国内のアフリカ系米国人の中には一線を画す立場の人もいる。シャープトン師は最近、白人ラジオホストのアイムス氏が、黒人大学生を「縮れ毛頭の売春婦」と形容したのに反発し、アイムス氏をラジオ局から追放する原動力にもなった人物。
しかし、今回のオバマ氏を茶化した替え歌に関しては、抗議の動きを見せていない。これはシャープトン師が、オバマ氏を必ずしも黒人の仲間と認識していないとの見方を生み、早速リンボウ氏の風刺材料に使われたようだ。
シャープトン師の声をまねた歌は「バラク・マジック・ニグロは首都に住んでいるよ」から始まる。マジック・ニグロとは、50年代の映画に登場する魔法力をもった黒人。温厚な性格で、突如現れ白人の主人公を助け、差別心をもつ白人からも例外として認められているキャラクターである。今年に入って、黒人コラムニストが、米紙ロサンゼルス・タイムズにオバマ議員を「マジック・ニグロ」とみなす記事を掲載している。
さらに歌は、「バラク・マジック・ニグロは、僕のように本物じゃないよ」「皆は彼に票を入れるだろうよ。だって、貧困地域出身じゃないもの」と、貧困の中から這い登ってきたシャープトン師がうらやんでいる様を歌っている。
米紙シカゴトリビューンなどによると、メデイア監視団体が「歌は娯楽の域を超えている。歌自体が差別だけでなく、一般大衆に差別を彷彿させ、オバマ議員を危険にさらすかもしれない」を載せている。
これに対し、ランボウ氏は「自分はエンターテイナー、歌はパロデイー」と言い張った。
当のオバマ議員は、デトロイトにあるWJRラジオ局でのインタビューで、「歌は聴いたことがないが、歌があるのは知っている」と話した。「自分に寄せられるコメントすべてを真剣にはとりあげていない。私をからかっている人々がいるが、気にはしない」と言う。
YouTube内の「Barack The Magic Negro」
http://www.youtube.com/watch?v=RksFJTzPzA8
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