2007年05月14日13時12分掲載  無料記事
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爆弾テロ事件乗り越え復調するバリ島 治安回復で観光客戻る 

 インドネシア随一の観光地バリ島は、2002年10月と05年10月に爆弾テロ事件などを受け、観光業界は大きな打撃を受けた。しかし、治安が次第に回復し、バリ島の観光業界にも復調の兆しがみられている。テロ事件の痛手を乗り越え、観光業再生に燃えるバリ島の今を報告する。(ベリタ通信=和田等) 
 
 2002年10月に起こった爆弾テロ事件では、202人の死者を出した。爆弾テロ事件の直後にデンパサールの空港に降り立ったことがあるが、これまでとはうってかわったかのように空港には出迎えの人の影も見えなかった。観光客相手の店もシャッターを下ろし、あたかも「ゴーストタウン」のようになった光景がいまなお印象に残っている。 
 
 しかし、最近の治安の回復で元気を取り戻している。JTBバリ支店の長谷川保宏支店長は、「バリ島は何事も起こらなければ、もっともっと伸びるポテンシャリティー(潜在力)を内包している」と語る。 
 
 同支店長によると、バリ島は他のビーチリゾートとは違い、ビーチやマリン・スポーツの魅力だけではなく、ホテルやヴィラ、スパ・エステが充実し、ゴルフやラフティングも楽しめる。 
 
 ケチャッ/レゴン・ダンスなどのバリ舞踊、ガムラン音楽などの伝統文化、絵画、彫刻などの伝統工芸も盛んといった魅力もある。また世界的な遺産のあるジョグジャカルタやボロブドゥール、プランバナンの玄関口になっているという地理的な利点もある。 
 
 「バリ島は、凧揚げをするのにはもってこい風が吹く場所」と言う日本人在住者もいる。実際にバリ島では同島特製の凧も販売されているので、意外な凧揚げのスポットかもしれない。 
 
 近年、さまざまな種類のレストランもでき、食の楽しみも増しているという。日本食レストランだけをとってみても、バリ島には60〜70軒あるほどだ。 
 
 最近はバリ島で結婚式を挙げる日本人カップルが急上昇。毎年2500組が挙式するといわれ、「1組のカップルの随行者の平均は12人とのデータもある。 
 
 つまりはバリを訪れる日本人の約1割にあたる3万人が結婚式でバリを訪れている計算になる」(長谷川支店長)と、日本人だらけのハワイからバリに結婚式やハネムーンをシフトする動きも出ているようだ。 
 
 このほか、「日本人の郷愁を誘うような段々畑とココナツの木が入り交じった独特の風景が見られ、目が癒される感じがする」(長谷川支店長)村ウブゥドがバリ島の内陸部に控えている。このウブゥドでは最近の旅行者人気の高まりを受け、ヴィラが次々にできているという。 
 
 こうした魅力あふれるバリだが、一方では空港到着口での違法ポーターやツーリスト・ベルトのクタ地区で「タクシーはどう」「マッサージは?」「女は?」「麻薬は?」とやたらに声をかけてくる路上呼び込みがうっとおしいとの苦情も多い。 
 
 「特にこれがいやでクタ地区を歩きたくないという若い女性も多い」と語る長谷川支店長は、それによるイメージの悪化を懸念している。記者がクタを歩いた際にも執拗なの呼び込みを体験し、旅行者や旅行会社がいやがるのも無理ないな、と感じた。 
 
 日本では団塊の世代の退職期を迎え、海外移住・ロングステイがブームになっているが、長谷川支店長は「JTBでもロングステイ下見ツアーを企画したりしましたが、バリ島は候補にもあがらなかった。医療の問題や交通の問題、言葉の問題、土地の問題とバリ島にはクリアーしなければならない問題が山積みだからでしょう」と語っている。 
 
 セカンドホームを構える地としては、バリはまだまだハードルの高い場所といえそうだ。 
 
 一方、2006年のバリ島訪問者数は、05年10月の爆弾テロの影響や航空会社の減便、06年5月の中部ジャワ地震と同年7月のジャワ地震・津波の影響で前年比9・25%減の127万人強と落ち込んだが、06年から07年にかけての年末年始には2000年以来の活況を取り戻した。 
 
 また今年のゴールデンウィーク(4月28日〜5月6日)には、JTBの推計でインドネシアを訪れた日本人観光客は前年比14%増の1万2500人で、この大半がバリ島を訪問したとみられる。 
 
 5月初旬には列国議会同盟(IPU)の総会がバリ島で開催されたこともあり、サヌール、クタといった観光客に有名な地区の5つ星ホテルはほぼ満室状態になったと、B.J.C.ツアーズ&トラベルのニョマン・アルサナ社長は語っている。 
 
 バリ島の訪問者数を国別にみると、トップは日本人(06年:25万3013人)でバリ島訪問者全体の約20%を占めている。 
 
 これに対し、これまで2位だったオーストラリア人が02年の爆弾テロで最大の死者が出たことや麻薬所持の罪状で同国の若者が逮捕、起訴される事件が相次ぎ、同国政府が渡航自粛勧告を出しているため、訪問者数が減少傾向にある。06年には台湾人に抜かれ3位になった。最近伸びが著しいのが韓国人で、特にハネムーン旅行者にバリ島は人気がある。中国、ロシア、インドからの旅行者も伸びているという。 


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